「校長はん、さっむいでんなぁ、この校舎」
「うちの校舎はよう冷房が効いとるさかいにな、特に冬は」
「校舎の建替えはどないなってまんねん」
「そのうちに建替えてくれるんとちゃいまっか」
「校長はんは他人事のように言いまんな」
「せやかて、何にも決まってへんことは何にも言えまへんやろ」
「そらまあ、そうでっけどな。でもこんな寒い校舎子どもらかわいそうでっせ」
「そらそうやな。まあそんで、今日の午前中に支援教室ってのがおましてん」
「何でんねんその支援教室って、いつも放課後にやってる来校支援でっか?」
「来校支援はいつも放課後でっしゃろ、いつもうちの子どもたちが帰った後やから、なかなか交流ができへん。夏休みに少しするけど全部の児童生徒やおまへんねや、せやから今日は地域支援の子どもたちに来てもろて、うちの児童生徒と交流してん」
「そらええ取組みやな。そんで何人くらい来はったんや?」
「11組っていうから、児童生徒は11人で付き添いの保護者さんや学校の先生も着てはったから結構多かったで」
「子どもらは楽しそうやったやろ」
「そやな、うちの児童生徒にとっては、なかなかない機会やったし、地域の子どもにとっても同じ視覚障がいのある子どもと接することはええことやと思うで。地域の学校に行っている子どもは見えない、見えにくいことで何らかのストレスを感じているって前に研修で聞いたで」
「わかるわ、大人でも、見えへんだけやのに、すべてに劣っているように感じるときあるもんな。子どもやったら、そらどうしたらええかって悩むわな」
「そこがインクルーシブ教育の課題やねん。あんまり大きい声で言う人はおらんけど、インクルーシブ教育で地域の学校に行くのがいいとは限らんで」
「まあ、一長一短ってとこやな。今、高校も私学無償化って「私学に行こう」なんて派手に宣伝してまんな」
「あれもどうやって思うわ」
「ここでひっそりと宣伝しときなはれ『府立高校へ行こう』『大阪北視覚支援学校へ行こう』」
「あかん、はじめに府立高校へ行こう」って打って変換したら、〇〇高校閉校って出てもうた」
「笑えんわ」
終わり
