2月16日(土)、東京の立教大学でクエストエデュケーションの全国大会、クエストカップが開催されました。この全国大会に布施高校からも参加しました。その写真が、タイトルのところに表示された写真です。全国から集まったソーシャル部門の生徒達の集合写真。その一番前に陣取った女子高生4人が、布施高校からエントリーしたチームです。
ところで、クエストエデュケーションって何?ソーシャルチェンジとは?と思った方は、この教育プログラムを提供する「教育と探求社」のwebpageにアクセスしてください。「クエストエデュケーション」または「クエストカップ」で検索すれば、すぐにアクセスできます。少しだけ紹介すると、本年度本校が取り組んだソーシャルチェンジは、次のように紹介されています。
「困っている人を助けて、笑顔にする企画を考えるプログラムです。生徒は、自ら見つけた社会課題に当事者として向き合い、その解決方法をチームで考え、企画にまとめ、プレゼンテーションをします。社会の一員としての自分の役割を認識し自ら動き出せる主体性、閉塞感のある世の中に新たな価値を生み出す創造性、一人ではできないことを周りの人を巻き込んで実現していく、協働する力を育みます。」(クエストカップwebpageより)
さて、この記事で紹介したいのは、この教育プログラムに取り組んだ布施高校の1年生が、どのように感じ、どのように思い、どのように成長したのかということです。アンケート結果を紹介したいと思います。
(1)あなたはクエストエデュケーションに取り組んで良かったですか?
まず最初に紹介するのは、クエストエデュケーションに取り組んで良かったかどうか?その感想を紹介します。そのグラフが次の円グラフですが、なんと、84,2%の生徒が肯定感をもちました。
少し、生徒の声を紹介しましょう。
社会の問題を知る良い機会になったので良かった。
一生懸命がんばったら、班のみんなと仲良くなったり、達成感がすごくあるので、良い思い出になりました。
初めはめんどくさいと思っていたけどチームで協力することで楽しくなって最後まで取り組むことができた。
というような声が、アンケートの自由記述にたくさん書かれていました。
(2)「社会問題の解決」という課題についてどのように思いましたか?などなど・・・
次にもう少し詳しく見てみましょう!
①「『社会問題の解決』という課題についてどのように思いましたか?」
この問には、96.2%の生徒が「難しい」「まあまあ難しい」と回答しました。ほぼ全員です。「社会問題の解決」という課題に今まで多くの生徒が取り組んだことが無いと思います。今回は、初体験という人もたくさんいたと思います。
②チームとしてどの程度取り組めましたか?
この問には、91.1%の生徒が「協力して取り組めた」「まあまあ協力して取り組めた」と回答しています。生徒の声には、こんな声がたくさんあります。
協力することの大切さが分かって良かった。
チームで協力できたことで楽しくなったし、世界の問題について考えることができてよかった。
みんなと同じ問題に取り組むというのは新鮮でおもしろかった。
このクエストの経験で、「チームで取り組むことの大切さ、大事さ」を実感できたようですね。考えてみると、社会に出れば、チームで取り組むことばかり。一人でやる仕事なんてほとんど無いというのが現実。10代の頃から、「チームで取り組む力」を鍛えていかなければなりません。
③チームで取り組んだ課題のプレゼンテーションについて、どのように思いましたか?
このクエストには、どんな部門でも必ずプレゼンテーションがあります。世の中の人に自分の考えを伝えようとするとき、プレゼンテーションという形式を抜きには考えられません。この質問に、88.5%の生徒が「良かった」「まあまあ良かった」と回答しています。生徒の中には、人前で話をする経験が初めてという人もいたでしょう。
人の前に出てしゃべる機会ができてよかった。
人と話をするのが苦手だったけど、話ができるようになった。
という感想の生徒もいれば、
プレゼンをどうしたら楽しく見てもらえるのかを考えるのが楽しかった。
という生徒もいます。たとえ失敗しても良いから場数を踏むことが大切ですね。
(3)クエストエデュケーションに取り組んで、自分の成長をどのように思いましたか?
まだまだアンケートの項目はありますが、最後に紹介したいのは、このクエストエデュケーションに取り組んで、生徒たちはどのように成長したかという一番大切な課題です。1年生は8クラス320人、この質問の有効回答数は、281人という事を念頭に次の棒グラフをみてください。
約3/4の生徒が、チームで取り組む力が着いた、半数の生徒が「新しいアイデアを出す創造力が着いた」と答えています。それ以外にも成長の実感を得た生徒は、多数いるようです。ビックリするのは、「成長しなかった」と答えた生徒の少なさです。たとえ、この取り組みに積極的に参加できなかった生徒も、自分の成長が実感できている回答が多数ありました。少し生徒の声を拾ってみましょう。
本当に社会に貢献できる内容を考えるのはとても難しかった。けれど、そういうアイデアが社会を良くしていくのだと思いました。
いろんなアイデアをたくさん出せるようになったり他の人の意見を知ることが出来た。
できるだけどんどん前に出て意見を言う方が、余計楽しく、やりがいも感じられるんだと思いました。
滅多に経験できない様なことに取り組めて、今後に役立ったと思う。
はじめは難しそうだし、前で発表するのは嫌だと思っていたけど、チームのみんなで案を出し合って、協力しながらやっていくうちに楽しくなってきた。良い経験になったと思う。
日常の中で普段考えることのない何気ないこと、難しい社会の問題、そういうことをみんなと意見を出しあって話し合うことがすごく楽しかったし、違う意見を聞けて、自分の考えがわかった。
クエストではいろいろなことを学ぶことができて良かったので、今後に活かせるように頑張ります!
普段考えないことをいっぱい考えれる機会だった。人前での発表を少しだけ克服することができて良かった。
適当に取り組むとすぐ終ってしまうけれど、真剣に取り組めば取り組むほど、奥が深いので楽しかったです。
如何ですか?データの裏側にある生徒たちの生の声が伝わったでしょうか?
さて、ここまで読んでくれた中学生のみなさん、そして保護者の方々。大変ありがとうございます。布施高校は、このクエストエデュケーションに来年度も取り組みます。このクエストエデュケーションは、21世紀を生きる力を育む教育プログラムです。日本の高度経済成長期には、とにかく偏差値の高い大学に進む学歴社会でした。ところが、今、21世紀は「後期近代」「ポストモダニズム」と言われる時代に突入しました。良い言い方で表現すると「成熟社会」、しかし実際は、「何が起こるかわからない混沌とした社会」というのが現実です。そんな時代を生き抜くのに必要な力は、学歴だけではダメなのです。本当に役立つ知識と技能を身につけ、深く思考でき、的確に判断できる、そして相手に伝わる表現力を持たなければなりません。そして何よりも「世のために、人のために役立つという志」が大切です。その志は、独りよがりではなく、多くの人の共感を呼び、「チームになる」モノでなければならないのです。
布施高校は、そんな若者を育てる高校であろうとしています。布施高校は、志を高く持つ若者を待っています。4月にどんな若者に出会えるか、本当に楽しみです!