「こないだな、あるお客さんが来ましてな『実は私、緑内障で...』って相談を受けましてんや」
「ほう、北やんに相談かいな」
「そんなら、そこの大阪北視覚支援学校に相談しなはれってアドバイスしましてん」
「おおきに、でもそれ丸投げやん。で、その人は何歳くらいの人や」
「50歳くらいやな」
「緑内障ちゅうのは、中途視覚障がいで一番多いって言うわな。北やんに相談するっちゅうくらいやから、よっぽど困ってんねんな」
「いや、困ってんのは困ってるんやろけど、雑談の中での話やさかいにな。でも、仕事辞めるわけにはいかんゆうてな、家族も養わなあかんし、でも仕事続けんのがしんどいんやて」
「めっちゃ困ってはるやん。こういう場合は丁寧に相談に乗ったらなあかん。まず、職場でどのような配慮をしてくれるか、会社の人に相談するのが第一やな。会社もいろいろあるからそんな余裕ないって言われるかもしれへんし、いろいろ相談に乗って配置転換してくれるところもある」
「会社もいろいろやからな」
「うちの理療科に入って、あん摩マッサージ指圧師、はり師、きゅう師(頭文字をとって「あはき」)の資格を取るのもええけど、3年間辛抱して勉強せなあかん。家族の協力や経済面でいろいろ負担があるさかいに簡単にうちに来なはれとは言えん。ここの校長やけど」
「校長はん、そんなこと言っとたら理療科の先生に怒られまっせ」
「そら、校長としても来てほしいのはやまやまやけど、一人ひとりの人生ってのがあるやろ、相談っちゅうのはそこに向き合うことが大事や」
「そうだんねんな」
「何しょうもないダジャレ言うとんねん。けどな、これからは年いって働けんようになるまで働かなあかん社会になる。いくら面倒見のいい会社でも定年過ぎてまで働くのは難しいところがあるかもしれへん。そのためには早よ資格を取れるときに取ったほうがええと思うで」
「ワシも早よ資格取ったさかいに、今こうして働けとるから、そら早いにこしたことはないわな」
次回へ続く