(番外) 今度同窓会がありまっせ

「先週は、中学部が宿泊学習に行っとってんなぁ。みんないい経験してきたみたいやな」

「せやな、ところで来週、9月23日に同窓会がありまんな、北やんは行きまんのか?」

「ワシは行かへん」

「何でや?創立125周年の祝賀会やで」

「ワシの卒業には、同窓会から疑いがかけられてまんねん。『卒業証書見せろ』って言われて、うちの中探してんけど、どこにも見当たりまへんねん。おかんにも探してもらってんけどな」

「無くしてしもたんか?そんなら卒業証明書出してもらったらええやん」

「こないだ、校長はんのとこに行ったついでに事務室に寄って、『卒業証明書出してちょうだい』って言ったら、『そんな人はいてまへんで』って言われましたんや。ちなみにワシの名字は北とちゃいまっせ、名前を北三郎って言いまんねん。それで北やんですわ。北島三郎やあれへんで」

「卒業偽装ってどっかの市長みたいやな」

「それに、昔のことやから、卒業した年も忘れてもうて、確か昭和60年代やったのは確かやねんけど」

「そら昭和60年代は60年から64年までの5年間しかあれへん、しかも昭和64年は1週間ほどで平成元年になったから、実際4年間のうちのどれかや、探しやすいやん」

「うちのおかんが言うには、阪神が優勝した年やって言うねん」

「そら、昭和60年に間違いない、昭和60年は、バース、掛布、岡田の伝説のバックスクリーン3連発があった年や、昭和60年に絶対間違いない」

「でもな、おかんが言うには、その年にオリンピックがあったっていうねん」

「そんならちゃうかぁ、ってミルクボーイの漫才のネタぱくってんで」

「まあそういうわけで、同窓会に行かへんから、皆さんによろしく言っといて」

「ワテは毎年行ってまんねんで、総会から親睦会最後のお開きまで、毎年行くの楽しみにしてまんねん」

「校長はんは、市盲の卒業生やあれへんがな」

「なんか名誉会長っていう僭越な役もろて招待されてまんねん。最初の挨拶をするのが仕事であとの総会は口出しせんとおとなしく座ってるだけやけどな、それにちゃんと会費も払ってまっせ」

「同窓会は出してくれまへんのか」

「そんなん出してもろたらややこしいがな。ワテは公務員やねんから」

「そらまずいわな」

「でもな、同窓会見てると参加者の年齢が高いねん。もうちょっと、最近卒業した人が来てくれな同窓会も続いていかんで」

「せやな、同窓会の若手の会を作らんとな」

「それには、学校の先生の役割が大きいと思うねん。ただ校長から同窓会の仕事せいっていう職務命令は出されへんから、先生の自主性に任せるしかないねんけどな」

「同窓会は理療科だけやないもんな、普通科の卒業生もいるし、以前勤めていた音楽の先生とか実習助手の先生とかも来てるって前に市っちゃんから聞いたことあるで」

「市っちゃんは来るんか?」

「多分行かんやろ。彼も卒業疑惑があるさかいにな」

おわり