鵜呑みにしない。

きれいに晴れました。紅く染まった葉が日射しを受けて輝いています。

 今日は火曜日。2年生は午後から全クラス課題研究です。研究は順調に進んでいるでしょうか。私は残念ながら出張のため見学できませんでしたが、今日は文系の研究の指導に大阪大学から先生や大学院生にお越しいただいています。毎年お世話になっている国際公共政策研究科の皆さんです。

 天高の課題研究「創知」では、1年生から課題研究の基礎を学びます。その初期段階で、クリティカル・シンキング、「批判的思考」を取り上げます。なかなか定義の難しい言葉ですが、「他人の主張を鵜呑みにすることなく、吟味評価するための方法論」(「科学技術をよく考える―クリティカルシンキング練習帳」名古屋大学出版会より)というのが分かりやすい定義だと思います。

 先週の土曜日、ある文科省の方のお話を聞く機会があったのですが、その方は部下に常にこう言っておられるそうです。「本や新聞に書かれているからといって軽々に信じるな。自分で確かめろ。」まさにクリティカル・シンキングですね。

 今、ネットの世界に飛び交う情報の多くは、十分な検証がされないままに流通しています。Society5.0と呼ばれる世界に生きる皆さんには、これらの情報に接するときこそ、眉に唾を付けて、しっかり「疑う力」が必要だと感じています。教育の目標は「疑う力」を身につけることだと言う人さえいます。人の主張を鵜呑みにせず、自分の頭で確かめること。天高の課題研究「創知」は、そういった生き抜く力を身につける場でもあるのです。

 令和2年11月10日 学校長