芸術の秋、「春にして君を離れ」。

 天王寺高校では、3年に一度、全学年対象の芸術鑑賞会を開催しています。

 今年度はその芸術鑑賞の年、ミュージカル鑑賞会を5月に予定していました。ところが、思いもよらぬコロナ禍に見舞われ、実施が危ぶまれる事態となりました。しかし、11月まで延期してでも何とか公演の実現をめざそうという劇団の方々の熱い思いから、今日を迎えることができました。

 会場は、東大阪市文化創造館。2019年9月にオープンしたばかりの複合文化施設です。特に今日の会場となった大ホールは、1500人を収容でき、音響にこだわった設計が売り物の素晴らしいホールです。

 1000人を超える天高生が全員の検温と手指消毒をしてからの入場という対策をとりましたので、ホール前に行列が。開演に間に合うでしょうか。

 

 ぎりぎり、開演時間の13時に着席完了です。さすが真新しいホール、椅子や内装も完璧ですね。

 演目は、音楽座ミュージカル様の「サンデイ」。あの推理作家アガサ・クリスティがメアリ・ウェストマコットという名前で発表した小説「春にして君を離れ」を初めてミュージカル化したという作品です。登場人物の多さはアガサ・クリスティーならではといったところですが、クリスティーが別名で世に送り出した、推理ものとは一味違う一人の人間の人生を深く描き出した小説が原作になっています。

 鑑賞した生徒の皆さんは一人ひとり様々な受け止め方があるミュージカルだったと思います。作品のテーマは結構大人向けでしたから難しいところもありました。「愛」は誰に向けられ、何を残すのか、簡単に答えの出ないエンディングでしたね。

 ミュージカルそのものは、回転する舞台や大きな白い布による演出が極めて効果的に演劇をまとめあげた素晴らしい作品でした。本物の迫力が私たちの心に残像を残す芸術鑑賞会になりました。

(集合したときと打って変わって美しい夕陽に照らされた会館と家路につく生徒たちです。)

 天高の教育の柱の一つ、本物志向にふさわしい行事がまたひとつ実現できたことをうれしく思います。生徒の皆さんの感想を聞くのを楽しみにしています。

 令和2年11月12日 学校長