学校長より


ごあいさつ

平成31年度  (平成31年4月1日)

  ご挨拶

 平成31年4月1日付で刀根山高等学校長に着任いたしました安田幸一と申します。
本校は府下でトップクラスの人気を誇る学校であり、学校経営の責任の大きさをひしひしと感じております。 努力を重ね、その伝統を守り、さらに飛躍できますよう精励する所存です。どうぞよろしくお願いします。
 本校は、かつて刀根山の高台にありました大阪大学薬学部の敷地や薬草園の跡に、昭和52年に開校し、 今年で創立43年目を迎えます。「自ら未来を切り拓く 心豊かでたくましい人間を育てる」を教育目標に掲げ、 これからの時代を生き抜き、活躍できる人材育成を進めてまいります。生徒たちにとって安心できる学校 となるように、人間関係を醸成し、学校行事と部活動を充実させながら、心豊かでたくましい人間に成長できるよう、 育成してまいります。確かな学力向上を推し進めるため、充実した授業を提供し、希望進路実現を最大限支援できる 体制を構築します。特に大学進学についてはその傾向が年々大きく変化しており、その対策には全力で取り組んで まいります。また地域と連携した活動にも取り組むことで、地域の皆様とともに歩んでいこうと考えております。
 生徒の皆さん、保護者の皆様、地域の皆様、刀根山高校へのご支援、ご協力を賜りますようよろしくお願いします。
平成31年4月1日


平成31年度 入学式 (平成31年4月8日)

  第四十三回入学式 式辞

 本日、平成三十一年度大阪府立刀根山高等学校第四十三回入学式を挙行できますことを、心より嬉しく思います。
 この入学式に、大阪府教育委員会ご代表様、PTA会長様、後援会会長様にご列席いただいております。 高いところからではございますが、心より感謝申し上げます。
 保護者の皆さまは、この晴れやかな場に立っているお子さんの姿をごらんになって、お喜びひとしおなるものが あろうかと拝察いたします。私ども教職員一同、その喜びを共にすると同時に、責任の重大さを 痛感いたしておる ところであります。申すまでもなく、私どもは万全を期して、お子さんを次の社会の立派な担い手として、厳しく かつ愛情を込めて寄り添いながら育てる決意をいたしております。保護者の皆さまのご支援ご協力を切にお願い 申しあげる次第でございます。

 先ほど入学を許可された新入生の皆さん、入学おめでとう!刀根山高等学校教職員一同、心から歓迎します。
 ここからは入学生の皆さんに語ります。
 本校では 『 自らの未来を切り拓く 心豊かでたくましい人間を育てる 』という教育目標を掲げています。 『 自らの未来を切り拓く 心豊かでたくましい人間を育てる 』です。
 『 自らの未来を切り拓く 』ですが、「ひらく」という漢字は、開拓の「拓」の字を書きます。切り拓くという ことばはどういう行動なのでしょうか?
「描く」「ビジョンを持つ」「イメージする」でもなく、「作っていく」「進んでいく」でも物足りません。 この『切り拓く』には、もっと能動的、主体的、斬新、クリエイト、たくましさ、という意味が含まれていて、 未知の世界をかき分けて進んでいくことだと私は考えています。
その際には、悩んだり、苦労したり、涙することもあるでしょう。そういう意味を集約した言葉として『切り拓く』 をとらえています。
 社会は大きな変貌を遂げていっています。年号が変わったどころではない変化です。今までのステータスや価値観は 通用しなくなっていくでしょう。そんな世の中だからこそ『切り拓く力』を養わなければなりません。高校生の間は のんびりでいいかなというようなのんびり感は考え直してください。
 もう一つの表現『心豊か』という言葉は、どうとらえていますか?
私は他者理解や人権的感覚だととらえています。シンギュラリティという言葉がありますが、その方向に日々進んでいます。 いくらAIが進化し利便性が高まっても、我々人間は人間らしさを見失ってはいけません。またグローバル化が進む中で、 多種多様な文化を認め合わなければなりません。これらをうまく進めるための感覚を集約しているのが『心豊か』という 表現です。
 心豊かになるために、たった今からできる簡単な方法があります。それは日々の挨拶です。1日を「おはようございます。」 の挨拶から始めると、優しい柔らかな気持ちになれます。

最後に再度言います。「切り拓け!そして心豊かに!」これを今日はお伝えします。

さあ、明日から刀根山高校でともに成長していきましょう。そして明るく元気な挨拶がずっと続くような学校生活を 送りましょう。以上を私からの式辞といたします。

 平成31年4月8日 
 大阪府立刀根山高等学校 校長  安田 幸一  

平成31年度 1学期始業式 (平成31年4月8日)

  1学期始業式校長式辞

 おはようございます。
大阪府立刀根山高校の校長になった安田幸一です。よろしくお願いします。
新学年のスタートの今日みなさんには何か秘めた思いはありますか?そういうことを考える機会です。 何か志を掲げる日にしてください。

 初めて皆さんにお話をするので、私が皆さんに期待することをお伝えしておきます。2点お話します。
キーワードは「創造」と「他者理解」です。
1点目、「創造」についてお話します。
 私は「創造」、つまりクリエイティブな営みや働きかけを日頃から大事にしています。
よく、美術、書道、写真といった高校生の展示を見学に行きます。高校生のサッカーやバスケット、 ダンス等のスポーツも観戦します。その時に「へー、こんな表現をするんだ。」「え、こんなプレー を選択したんや。」等の思いを持つときにワクワクします。一流の画家が描いた絵だけにワクワク させられるのではなく、高校生、いいえ幼児が描いた絵にもワクワクさせられることがあります。 それは私の感性の範囲以上のものではありませんが、皆さんにはぜひ創造的な活動をめざし、 私をワクワクさせてほしいと期待しています。私は60に近い年齢ですが、まだまだ創造的な活動 をしてみたいという思いがあります。皆さんはこの先、この「創造」を大いに発揮できる場がある と思うし、それを伸ばすこともできるでしょう。そしてこの力が将来の社会の変化を乗り越えて いくうえでの資質にもなるのではないかとも考えています。どうでしょうか、そういう視点をもって 自分の行動を振り返ってみてください。
 過去の歴史的な開拓者や先駆者は困難な状況の中で登場します。よって創造性を育むのは環境だけ で決まるのではなく、自分の思考によって方向づけられるということです。ぜひそういう クリエイティブな思考を意識してみてください。
 2点目は「他者理解や思いやり」を大事にしてほしいということです。多種多様な文化が混在し、 グローバル化が進む中で、この心がけは重要です。私達教職員は、皆さんにとって「安心して 過ごせる学校」が一番大切だと考えていて、そこにこの「他者理解や思いやり」が大きく影響する と考えています。学校行事や部活動、そして仲間との交流においては特に意識してほしいことです。 このことが欠如するといじめが起きたり、心無いネット上での書き込みになったりする のではないでしょうか。
 また、他の人たちと一緒に目標に向かっていくうえでこの感覚を失うとそのバランスが崩れて いくきっかけになることも多いです。家族であっても、親友との関係、恋人同士であっても、同様です。 私自身若いときにこの感性が足りなかったと今反省しています。あのときこの感性があればもっと 良い結果が出ていたかもしれないと後悔をしたこともあります。どうか皆さんはこのような「他者理解」 の感性の大切さを知り、そしてそれを養って卒業していってほしいと願っています。そしてお互いが 「安心」できる学校生活を形成していきましょう。
 それでは最後にキーワードをもう一度言います。「創造」「他者理解」この2点が今日のお話でした。
1年間ともに刀根山高校での生活を充実させましょう。以上で終わります。

 平成31年4月8日
 大阪府立 刀根山 高等学校 校長  安田 幸一  


校長 野口 幸一

ごあいさつ

 本校は、かつて刀根山の高台にありました大阪大学薬学部の敷地や薬草園の跡に、昭和52年に開校し、 今年で創立40年目を迎えました。「確かな学力」を育成し、「希望する進路」を実現するため、 50分を基本とする週31時間の授業に取り組むとともに、「行事・部活動の充実」も図っており、 放課後にはグラウンド、体育館および校舎内などで30を超える運動部や文化部の活動で熱気に満ち溢れています。 また、「きめ細かい生徒指導」にも力をそそいでいます。本校は創立当初より、学業、部活動、 学校行事および生活面での取組みについて、地域からの信頼と評価を得ながら「行きたい学校、行かせたい学校」 をめざした教育活動を展開してまいりました。これからも『Value Everyone』(一人ひとりを大切に) を合言葉に、生徒の夢を実現する学校([TONEYAMA 夢・実現])として、一層充実した教育活動を推進していきます。
 どうか、地域の皆さまをはじめ、たくさんの方がたのご理解とご支援をひきつづきよろしくお願い申し上げます。


平成28年度 第四十回入学式 式辞(平成28年4月8日)

正門前の桜が咲き誇る中、今年度から新しくなった制服を身に着けた、400名の初々しい新入生を迎えました。


  第四十回入学式 式辞

 正門の桜も咲き誇り、風がふくよかな香りを運びくるこの佳き日に、大阪府教育庁ご代表をはじめ、ご来賓の方々、保護者の皆様のご臨席を賜り、ここに大阪府立刀根山高等学校 第四十回入学式を挙行できますことは、この上ない喜びであります。高いところからではございますが、ご来賓の皆様方には厚く御礼申し上げます。

 ただいま入学を許可いたしました四百名の新入生の皆さん、ご入学おめでとうございます。本校は今年、創立四〇周年を迎えますが、皆さんを刀根山高校の第四十期生として迎えられることを、在校生、教職員一同、本当に嬉しく思いますとともに、今日まで、お子様を支えてこられた保護者の皆様に、心よりお祝い申しあげます。
 新入生諸君、今、皆さんの心は、入学の喜びとこれから始まる高校生活への期待に大きく膨らんでいることでしょう。高い競争率を乗り越えられた努力に対して敬意を表したいと思います。しかし、皆さんが、今日こうして刀根山高校第四十期生として立つことができた背景には、保護者の方をはじめ家族の方々、小・中学校の先生方、また、これまで皆さんを見守ってくださった数多くの人たちのご指導とご支援があったからこそです。そのことは決して忘れてはなりません。感謝の気持ちを態度で表すとともに、これから三年間の高校生活を通して、高い知識と教養、豊かな人間関係、逞しい心と体を備えた人間として自らを鍛えあげていくことが、これらの方々のご恩に報いる道であります。
 さて、本校の教育は、昭和五十二年の創立以来、優秀な教職員の指導と素晴らしい生徒諸君の頑張り、保護者や地域の方々のご協力とご支援のもとに営々と実践されてきました。その基盤になっているのが、教育目標である「自らの未来を切り拓く 心豊かでたくましい人間を育てる」ことです。
 皆さんにとって、これまでの目標は刀根山高校への入学だったかもしれません。しかし、皆さんの長い人生において、今日という一瞬は一つのステップであり、将来、どのような職業に就いて生活し、どのように社会に貢献するかを意識することが大切です。大いに勉強して「自らの未来を切り拓く」とともに、クラブ活動や行事に打ち込み「心豊かでたくましい人間」となられることを期待しています。皆さんが、これからの高校生活を送るにあたり、常に意識をして心掛けてほしいことが三つあります。
 一つ目は、「できるだけ早く高校生活に馴染む」ことです。授業の速度や難易度は中学校時代とは大きく異なります。戸惑うことも多いと思いますが、先生の教えをよく聞き、乗り越えてください。
 二つ目は、「高い目標を立て努力する」ことです。自分の可能性を信じ、小さく収まることなく、前向きに進んでください。
 三つ目は、「自分を大切にし、他人のために尽くす」ことです。自分を大切にするということは決して自己中心的になることではなく、自分の良さを尊重することです。そして、友達や後輩のために一生懸命になることは必ず自分にプラスとして帰ってきます。繰り返しになりますが、「できるだけ早く高校生活に馴染み」、「高い目標を立て努力し」、「自分を大切にし、他人のために尽くす」ことで学校生活を充実させ、この素晴らしい環境の中で大きく飛躍されることを期待しています。
 皆さんもテレビや新聞で見たかもしれませんが、今、南米のウルグアイから「世界一貧しい大統領」と呼ばれるホセ・ムヒカ前大統領が来日されています。
 現在八十歳のムヒカ氏は貧困家庭に生まれ、一時はゲリラ活動により投獄されましたが、一九九四年に国会議員となり、二〇一〇年に大統領に就任したましが、任期中の五年間、大統領公邸に住むことはありませんでした。また、給料の九割を貧しい人々に寄付し、郊外の農場の畑を耕して暮らす清貧ぶりから「世界一貧しい大統領」と呼ばれています。ムヒカ氏が注目されたのは、ブラジルで開かれた国際会議での演説です。氏は「グローバル経済に人類が振り回されている。貧しい人とは少ししか物を持っていない人ではなく、無限の欲があり、いくらあっても満足しない人だ」と述べました。また、同じ演説の中で「私たちは発展するために生まれてきているわけではありません。幸せになるためにこの地球にやってきたのです。人生は短いし、すぐ目の前を過ぎてしまいます。命よりも高価なものは存在しません。」とも述べています。
 さらに、あるインタビューの中で「人は物を買う時は、お金で買っているのではないのです。そのお金を貯めるための、人生の裂いた時間で買っているのですよ。」とも語られています。話の内容もさることながら、最も感動させられるのは、柔軟な物の見方、つまり決して固定されていない観念です。皆さんも、ただ決められたレールを走るのではなく、常に疑問を抱きながら、自分の個性を生かして過ごしてください。
 保護者の皆様に対しまして、改めてお子様の本校への入学のお祝いを申し上げます。 赤ちゃんの頃、熱を出して一晩中、看病されたこともあったでしょう。保育園や幼稚園に行きたくないと駄々をこねて困られたことがあったかもしれません。小学校から中学校時代、お子様の無邪気な笑顔で癒されたこと、何かうまく行かなくて落ち込んでいる様子を見て自分のことのように心を痛められたこともあったのではないでしょうか。そんなお子様たちも、今、新しい制服に身を包まれ、こんなにも立派になられました。このご成長は保護者の皆様の愛情と忍耐の賜物であるに違いありません。これからも、どんな時もお子様を信じ応援していただきますよう、よろしくお願いいたします。本日確かに、お子様をお預りいたしました。3年後の卒業時には、刀根山高等学校に入学させて良かったと喜んでいでいただけるよう、私どもは、全身全霊を込め、真剣勝負をするつもりでお子様の教育に当たりますので、保護者の皆様にも、本校の教育に対するご理解とご支援をよろしくお願い申し上げます。
 結びにあたり、新入生の健闘を心からお祈りして、式辞といたします。

 平成二十八年四月八日
 大阪府立刀根山高等学校 校長 野口 幸一



平成27年度3学期終業式(平成27年3月15日)

3年生が卒業し、1年生と2年生の3学期終業式を行いました。本日は、書道部と美術部の生徒がそれぞれ入選を果たしましたので、表彰状の伝達を行いました。


  3学期終業式校長式辞

 皆さん おはようございます。
本日は、平成27年度の終業式です。
今月の2日には、3年生の卒業式が行われました。357名の先輩が本校を巣立っていきました。卒業した3年生は、学校行事や部活動においてすばらしい活躍をしてくれました。 是非、皆さんも卒業した3年生の見習うべきところはしっかりと見習って、刀根山の伝統を引き継いでいってもらいたいと思います。 卒業式では、卒業生が働き盛りと呼ばれる年代になったころには、多くの人が今はない職業についているだろう。そして、生涯にわたって学び続ける力、今あるものに付加価値をつける力、問題を解決する力の必要性を話しました。

 さて、この1年を振り返り皆さんに伝えたいことが二つあります。 一つは、このたび、刀根山高校が大阪府教育委員会の平成27年度「こころの再生」府民運動@スクール表彰の表彰校に決定されたことを報告します。本校では、従前から地域の子ども園、公民館、病院、自治会等と連携し、運動部や文化部がそれぞれ、演奏や展示、技術指導を行い地域活動の活性化の一端を担ってきました。また、野球部の清掃活動、家庭科授業での保育実習なども地域連携の一環として地元の方々に喜ばれています。 また、昨年度からは、東北ボランティアとして、陸前高田市図書館づくりの募金、古本回収。国の事業を受託してのボランティア活動、豊中市のボランティアバスへの参加、吹奏楽部の大槌高校との演奏会なども高く評価されたということです。継続して地域連携やボランティア活動に積極的に参加してほしいと思っています。

 二つ目は、授業を大切にしてほしいということです。 以前、私から皆さんに、学習への取組みの話をさせていただきました。新しい学年でも、授業を中心とした学校生活を確立してください。授業の準備をすること、復習をすること、受験勉強をすること、すべての学習の中心になるものが授業です。授業を大切にしてください。加えて、この春休み中に、すべての教室に電子黒板機能付きのプロジェクタを設置します。このプロジェクタを活用することにより、実際の映像を見ることができたり、画像の上に書き入れることができたりしますので、これまでより、興味関心をもちながらの授業が展開できると思います。

 次年度、2年生は卒業年度を迎えます。部活動の最終目標に向かって頑張る年になります。また、希望する進路に向かってのラストスパートをかける年になります。 1年生は次年度、部活動の中心学年となります。しかし、よく言われるのが「中だるみ」になりやすい1年でもあります。 短めの春休みですが、皆さんが事故なく全力を発揮することを期待しまして、終業式のあいさつとします。

平成27年度第37期生卒業式(平成28年3月2日)

37期生の門出を祝うような素晴らしい晴天でした。多くの来賓、保護者、教職員、在校生の出席のもと、第37期生357名のたびだちをお祝いしました。


  第37回卒業証書授与式 式辞

 平年より、幾分過ごしやすかった本格的な冬も終わりを迎え、春の訪れを感じる今日この頃です。時代の移り変わりや社会の変化があっても、自然の営みには変わることはありません。今年も希望に満ちあふれた春がめぐってきました。

 この早春の佳き日に、大阪府立刀根山高等学校第37回卒業証書授与式を挙行いたしましたところ、公私ご多用中にもかかわりませず、大阪府教育委員会ご代表をはじめ、多数のご来賓のご臨席を賜り、卒業生の前途を祝福していただきますことに対しまして、厚くお礼申しあげます。また、皆様方には平素より本校の教育活動に深いご理解と様々なご支援をいただいておりますことに、この場をお借りして、重ねてお礼申し上げます。

 保護者の皆様、本日はお子様のご卒業、本当におめでとうございます。3年前、春爛漫の桜の花とともに本校に入学されたお子様方は、実に頼もしい若者に成長され、力強く新しい社会へと踏み出される日を迎えられました。高校時代は心身ともに、実に大きく成長する時期であります。ある時は逞しく、ある時には不安定に見える毎日に、はらはらされることもあったのではないでしょうか。日ごろのご労苦ご訓育が今ここに実り、この日を迎えられましたことに重ねてお祝いを申し上げます。

 37期生の皆さん、ご卒業おめでとうございます。
ただ今、卒業証書を授与いたしました357名の皆さんひとり一人の記憶の中には、刀根山で過ごした多くの出来事がよみがえっていることでしょう。希望と不安の入り交じった入学式から3年間、皆さんは果敢に学業や部活動あるいは行事に取り組んできたことと思います。友と語りあい、汗を流し、涙し、時にはトラブルに巻き込まれながらも力を合わせて、かけがえのない青春を自らの手で作りあげてきたことでしょう。そして生涯続く友情を培った生徒も多いと思います。力を出し切ってやり遂げた体育大会、心から楽しんだ文化祭、早朝講習や夏期講習で勉学に励んだこと、北海道十勝での自然に囲まれた体験や民泊をとおして地元の方とふれあったこと。入学式から今日の卒業式までの三年間を、私は君たちとともに過ごすことができました。その間に、皆さんの姿に元気づけられ、勇気や希望をたくさんいただいたような気がしています。
 さて、皆さんが旅立とうとしている社会は、かつてない混乱期、激動期を迎えています。自らの力で漕ぎだそうとしている21世紀の大海原は波高い荒海、順風満帆の航海とはとてもいかないでしょう。未来は何が起きるかわかりません。そんな時代を生きる上で一番大切なことは、未来を楽しむ心、未知を探求できる強さを持つこと、未来は不確実で予測不能なものだからこそ人生は面白いのかもしれません。
このような、厳しい時に出発つ(たびだつ)皆さんだからこそ「志(こころざし)」をしっかりと持って欲しいと思っています。 自分が思う体力・精神力の限界は、本当の限界ではありません。本当の限界は自分が思っているよりももっと先にあると信じ、高い「志」を持ち、常に向上心をもって、自らの潜在能力を高め、あきらめずに挑戦することが「夢」の実現を可能にするということを忘れないでください。

 2011年8月のニューヨーク・タイムズ紙でアメリカのデューク大学の研究者であるキャシー・デビットソン教授の研究が発表されました。そこには「米国で2011年度に入学した小学一年生の65%は、大学卒業時、今は存在していない職に就くだろう」とありました。確かに、私が子どものころの買い物と言えば、商店街の八百屋さんや肉屋さんでの対面販売が主でした。牛乳屋さんや酒屋さんは、各家庭へ配達してくれることが当たり前でした。コンビニエンスストアが街のあちこちにあり、こんなに商品が豊かにあり便利な生活を送ることができることは、想像もできなかったことです。また、携帯電話ストアの店員や、インターネットにかかわる職業ができたのは、大人になってからでした。つまり、皆さんが働き盛りと言われる年頃になるころには、多くの人々が、我々が想像もしない仕事についている可能性が高いということです。そのような時代に生きていく皆さんにとって必要な、三つの「力」を伝えたいと思います。
 一つ目は、「学び続ける力」です。世の中の変化に応じて、社会に出てからも学び続け、新たなスキルを身に付けることです。
 二つ目は、「今あるものに付加価値をつかる力」です。これまでのように、安いものを大量生産しても、価格競争に負けてしまいます。異なる専門性の組み合わせが不可欠になってきます。
 三つ目は、「問題を見つけて試行錯誤する力」です。何が問題としてあるのかに気づき、課題解決のための仮説を立ててやってみる。問題解決のために努力を惜しまないことが大切です。

 皆さんは本校において日々の授業を通じてコツコツと努力をすることにより、一つひとつの小さな成功体験を数多く積み重ねきました。今後は、そのことに満足することなく、新たな学びや体験を自ら求め、その中からそれぞれの長所を改めて見出し、人生の目標に向かって日々努力を重ねてください。

 刀根山高校を卒業するにあたり、この3年間、培ってきた知識と能力と感性で、さらに大きな夢やあこがれを描くことで、自分の将来進むべき道を切り開き、社会に貢献する力を備えた大人へと成長されることを心から願っています。
皆さんの前途に幸多かれと心から祈り、式辞とします。

平成28年3月2日
大阪府立刀根山高等学校 校長 橋本 卓爾



入学式の日の正門

新入生が保護者とともに式場へ向かいます

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