2学期終業式にて...

 2学期も本日で終わりです。終業式を体育館で執り行いましたが、生徒諸君はしっかりと熱心に話を聞いてくれました。以下が私が話した内容です。

 2学期早々の阿武高祭では素晴らしい舞台や企画を見せてくれてありがとう。3年生は進路に向けて頑張ってくれましたし、これからが本番の生徒も多くいます。頑張ってください。2年生は高校生活最大の行事である修学旅行を楽しんでくれたでしょうか。1年生はやっと高校生活に慣れてきましたね。皆さんからは、いろんな場面で元気をもらいました。ありがとう。 

 さて、先日、こういう名前の人と久しぶりに会いました。「金光敏」私の友人で日本生まれの日本育ちの韓国人です。キムクァンミンと読みます。彼と話をしていて、日本と韓国の話になりました。現在、日韓関係はここ1年、政治的な対立が続いています。北朝鮮とも拉致問題が解決せず、良好な関係とは言えないよねって。そんな中、国と国が対立していても、人と人はつながれるという話を彼がしてくれました。

 今年の8月、韓国で反日の集会が開かれました。「NO JAPAN」といったプラカードを掲げた集会が韓国の首都ソウルで開かれたのですが、その広場のすぐそばである日本人男性がハングル、韓国の言葉で書かれた看板を掲げます。「韓国にも、日韓友好を望む多くの市民がいると思っています。私は皆さんを信じます。同意してくれる方はハグしてください」あえて目隠しをして、「相手を選ばず、逃げない」覚悟で。最初は遠巻きに見ていた韓国の市民ですが、一人が彼に近づき「カムサハムニダ」と囁いてハグします。すると次々にハグする人が現れ、2時間で50人の人が彼にハグをします。こういった活動をフリーハグと呼ぶそうです。

 この彼の行動に反応した韓国人女性がいます。彼女は大学時代に日本の静岡大学に留学。日本が大好きで、彼のことを知った彼女は日本に渡ります。日本ではヘイトスピーチと呼ばれる韓国人や朝鮮の人を差別する行動が激化しているのを知り、あえて、ヘイトスピーチが行われている大阪で同じようにフリーハグを求めます。彼女の足元の看板には、日本語とハングルでこう書かれていました。「私は韓国人です。隣ではヘイトスピーチが行われています。でも私は皆さんを信じます。一緒にハグしませんか?」この時も最初は遠巻きに見ていた人々ですが、彼女の思いが伝わったのでしょう、ある女性が彼女にハグします。次に若い男性、二人連れの女性、年配の男性、子ども...。

 彼女はこんなメッセージを私たちに伝えます。《それでも あなたを 信じます。》《憎しみから平和は生まれません 共に歩み寄り お互いに笑顔でいられる そんな未来を一緒に作りませんか?》

 ここで彼女が言っているように、人と人はつながれるのです。阿武野高校では授業や行事で自分と違う立場、考えの人とつながってますよね。先日は中国から30名の高校生が来てくれました。バディ生徒になってくれた皆さんは彼女彼らたちとつながれたのではないでしょうか。人とつながる、誰かとつながる、その意味を考える年末年始に出来たらなと思います。

 さて、いよいよ冬休みです。2学期の成績がもう一つだったみなさんには特別課題が出ています。必ず早めに終わらせて、楽しい年末年始を過ごしてください。年末年始はどうしても生活リズムが乱れたりしますが、3学期が始まるまでに、出来るだけ早く生活リズムを戻して、遅刻することなく、元気な顔をみせてください。来年のスタートは1月7日です。8日ではありません。気を付けてくださいね。1月7日です。では、よいお年を!