無事、11月16日から23日のシカゴ訪問が終わりました。大きなトラブルもなく、プログラムが滞ることもなくスムーズに終えることができました。これは、何よりもJICEの高尾さん、YFUのGINAさんのおかげです。そして、ときどき起こった生徒たちの体調不良にもきめ細かく対応していただき、私たち男性の教員しか付き添いしていない部分を、充分に、いや、それ以上にカバーしていただきました。心から感謝を申し上げます。
さて、今回の KAKEHASHI PROJECT の中核ともいえるシカゴ訪問を終えて、私の感じたことを述べながら、振り返りを行い、今後の課題を考えてみたいと思います。
最後の日本領事館の人たちの前でのプレゼンや、生徒たちの感想文を読んで、ほとんど全員が感じたり、思ったことは、「アメリカの文化と日本の文化」の違いでしょう。それは、食事、路上駐車、自動販売機、コミュニケーション、などなどのテーマに反映されていました。ここで、あえて辛口の批評をさせていただくと、このような文化の違いというものは、アメリカを訪れた多くの人が感じることではないかと思います。アメリカに限らず、海外に出かければ、必ずと言っていいほど感じることです。だからこそ、KAKEHASHI に参加した人は、そこで留まってはだめだと思います。海外に行き、異文化に触れ、さらに掘り下げる、自己の課題、異文化の交流の在り方、日本文化の何をどう発信するのか、などなど、さらに深めていくことこそが、KAKEHASHIのKAKEHASHIたる所以であると思うのです。だから、こそ高尾さんは最後にこれからのACTION Planの大切さを強調されたように思います。帰国後のPlan作成に自らの体験を掘り下げていきましょう。 ブログに掲載した感想文は、自らを掘り下げる原石を持っていると思い、選ばしてもらいました。私が考えた基準は、自己との関わりです。その面を掘り下げていくことが大事だと考えています。
もう一つ、辛口の評価をします。私たちも含め25名の生徒と教師は、同じ場所に行き、同じ人に会い、同じ経験をしました。それなのに、「これほど感じたこと、思ったこと、考えたことが違うのか?!」と思いました。それは、個性というレベルではなく、質のレベルにおいてです。そのことが、もっとも端的に表れたのが、アムンゼン高校二日目に散策として二つの資料館を訪れたときでした。一つは、スウェーデン移民のことが展示しているミュージアム、もう一つは、ドイツ系移民のミュージアムです。いずれもアムンゼン高校に通う生徒たちのルーツに関わることです。 私は、スウェーデンミュージアムに行きました。そこでは、移民の歴史、そしてシカゴの街を支えてきたスウェーデン系の人たちの歴史が展示されていて、非常に興味深いものでした。そして、さらに驚かされたのは、アムンゼンの生徒たちが一つ一つの展示物や、歴史について非常によく知っていること、そして私たちに丁寧に説明してくれることです。このことに経験して、布施の生徒たちは「私は、日本のこと、地域のこと、自分たちのことをここまで話をできるかしら・・・」と思ったのです。そのように思った生徒は、少なからずいました。ところが一方で、「なんでこんなところにきたんやろう?」と口にする生徒もいたのです。確かに、ミュージアムに行く途中では、雷もなり、雨も降ってきて、けっして良いコンディションとは言えませんでした。でも、アムンゼンの生徒たちは、一つの文句も言わず、目的地に向かっていたのです。それは、私たち日本人に、自分たちのことを知ってほしいから、自分たちのルーツについて知ってほしいから、自分たちのアイデンティティについて知ってほしいからだと思います。このことをきちんと受け止める感性があるのかないのか、そのことはとても大きいことです。海外の異文化交流、研修に出かけて学ぶことは、異文化を通じて自らを考え直すことではないかと思います。自らの感性を鍛え、自らのアイデンティティを考える絶好の機会だと思います。このKAKEHASHIに何をするために参加したのか、もう一度振り返る必要がある人もいました。今後のACTION PLAN作成の中で、もう一度原点に戻って考えましょう。
辛口のことを述べましたが、それはなぜか?それは今回のシカゴの訪問がとても内容が良く、そして濃く、そして深いからです。こんな体験は、そう度々できるものではありません。だからこそ、この体験から最大限のモノを得てほしいから、あえて辛口に述べました。そして、私が示した課題に十分にこたえられるだけのモノをあなたたちは得てきたと思うからです。
KAKEHASHIはまだ終わっていない!後半戦はこれからです!