今週月曜日家でNHKを見ていると、「クローズアップ現代+」のテーマが、「卒母」!「なにこれ?」と思って10時から見ました。それは、「毎日かあさん」の作者である西原理恵子さんが、「卒母宣言、16年続けた漫画も終了する」というものでした。西原さん曰く、「下の娘が16歳になったので、『もう母さんしなくてもいいよね。』と思ったので卒母宣言します。」というもの。これは、なかなかできることではないですね。
番組の中では、西原流子育てが紹介されていました。少し紹介します。
"『お母さんキライ。』
『はい、キライで結構。 家を出たいなら、18歳からOK。独立するなら家賃、税金、生活費月に20万以上の収入を目指して準備する。勉強する、資格をとる。そのためのお金は全部出します。 別に好きにならなくていいから、キライのそのあとどうするかを自分で考えなさい。』"(NHKwebpageより)
この子育て、なかなか言えそうで言えません。多くのお母さんたちは、「なんでそんなこと言うの?」「お母さんのどこがダメなの?」と思い悩むのではないでしょうか?西原さんの子育ての核心は「自立」ですね。そしてその為に子どもに「自律」を求めています。布施高校の求めていることと同じだと思いました。
番組では、現在の「親離れ・子離れ」の状況が取材されていました。今では、大学の入学式や卒業式に親が出席するのは当たり前のようになっています。入社式でさえ親が同伴というの世の中。さらに、内定をもらった会社に入社するかどうか、親の承諾がいるという話です。「それって、社会人じゃないでしょう!」とテレビに向かって独り言を言っていました。婚活でさえ、親同士が子どもの婚活をしているという話が出ていましたが、それがビジネスになる世の中のニーズがおかしいと思います。子どもも「親と一緒に生活する方が、楽。食事も心配しないでいいから」というインタビューが放映されていましたが、「ダメだ...。いつになったら大人になるの...」と一人つぶやきました。
保護者の皆様、覚えておられますか?私が入学式の式辞で話したこと。私は、高校時代は大人になるための準備をする時期だと思っていますので、うまく「親離れ・子離れ」してほしいのです。つまり「卒母」「卒父」です。私は、このように言いました。
高等学校の3年間は、「親離れ」「子離れ」の時期であるということです。わが子を自立させる時期です。今までは暖かく抱きしめ、両手で包み込んだ子育てをされてきたと思います。これからは、親の「生き様」を子どもに見せる、「背中で育てること」が大事になります。このことを毎回伝えておりますが、保護者の方の接し方を見させていただく中で、「いつになったら子どもを大人として扱われるのだろう?」と思うような場面に出会うこともあります。
西原さんのように「16歳で卒母する」かどうかは別にして、高校3年間で親も子もうまく自立できるようになればいいと思います。因みに、私は子育ては「18歳まで」と決めています。それ以降は、「自分で考えろ」「自分で決めた道は、自分で責任をもって歩め」と言っています。子どもたちがどう受け止めているかは知りませんが・・・。この「校長だより」を読んで、「お父さん、そんなこと言ってた?」と言われそうですが...。
一つ、エピソードを紹介しましょう。泉陽高校で勤めていた時に、卒業した生徒のお母さんから聞いた話です。子どもさんが高校生の時、毎日起こさないと起きてこないような子どもだったようです。ところが、その子が、大学進学で東京の私立大学に進学して、親戚の家に下宿するようになったら、きちんと毎日自分で起きるようになったのです。お母さんは言っておられました。「あの毎日の闘いの日々は何だったの?やればできるじゃない!」って。そうなのです。いつまでも親元にいると、子どもはなかなか大人になり切らないのですね。
昔の人は言い事を言っています。「かわいい子には旅をさせろ」。言い得て妙ですね。