AIが示す日本の分岐点

10月1日の朝日新聞朝刊に面白い記事が掲載されていたので、紹介する。「政治断簡」というところに編集委員国分高史氏が書いた記事だ。

京都大学の広井教授の研究グループと京大と日立が「日立京大ラボ」を設立した。このラボが、AIを活用して「2050年、日本は持続可能か」という問いに2016年12月に着手したという記事である。記事の内容によると、未来シナリオは、「都市集中型」と「地方分散型」の大きく二つのグループに分かれるらしい。8年から10年後に都市集中型と地方分散型の分岐点が到来し、17年から20年後に地方分散型が持続可能か不可能かの分岐点が来るとAIは予測している。その後の記事は、AIと政治の関わりについて紹介されているが、そんなことより、私の興味は「8年から10年後に分岐点?!」ということに関心が集中した。早速インターネットで「日立京大ラボ」と検索すると、2017年9月5日付けで 国立大学法人京都大学と 株式会社日立製作所の連名の「AIの活用により、持続可能な日本の未来に向けた政策を提言」というwebpageがヒットした。そこには、次のように書かれている。

1. 2050年に向けた未来シナリオとして主に都市集中型と地方分散型のグループがある。

a) 都市集中シナリオ

主に都市の企業が主導する技術革新によって、人口の都市への一極集中が進行し、地方は衰退する。出生率の低下と格差の拡大がさらに進行し、個人の健康寿命や幸福感は低下する一方で、政府支出の都市への集中によって政府の財政は持ち直す。

b) 地方分散シナリオ

地方へ人口分散が起こり、出生率が持ち直して格差が縮小し、個人の健康寿命や幸福感も増大する。ただし、以下に述べるように、地方分散シナリオは、政府の財政あるいは環境(CO2排出量など)を悪化させる可能性を含むため、このシナリオを持続可能なものとするには、細心の注意が必要となる。

2. 8~10年後までに都市集中型か地方分散型かを選択して必要な政策を実行すべきである。

今から8~10年後に、都市集中シナリオと地方分散シナリオとの分岐が発生し、以降は両シナリオが再び交わることはない。持続可能性の観点からより望ましいと考えられる地方分散シナリオへの分岐を実現するには、労働生産性から資源生産性への転換を促す環境課税、地域経済を促す再生可能エネルギーの活性化、まちづくりのための地域公共交通機関の充実、地域コミュニティを支える文化や倫理の伝承、住民・地域社会の資産形成を促す社会保障などの政策が有効である。

3. 持続可能な地方分散シナリオの実現には、約17~20年後まで継続的な政策実行が必要である

地方分散シナリオは、都市集中シナリオに比べると相対的に持続可能性に優れているが、地域内の経済循環が十分に機能しないと財政あるいは環境が極度に悪化し、(2)で述べた分岐の後にやがて持続不能となる可能性がある。これらの持続不能シナリオへの分岐は17~20年後までに発生する。持続可能シナリオへ誘導するには、地方税収、地域内エネルギー自給率、地方雇用などについて経済循環を高める政策を継続的に実行する必要がある。

以下、私の思いを述べる。

赤字は私が示したものである。あと、8年から10年後に選択を迫られ、その後二つのシナリオは再び交わることはないというのだ。もし、都市集中型を選択すれば、「出生率の低下と格差の拡大がさらに進行し、個人の健康寿命や幸福感は低下する」と言う。8年から10年後、君たちは20代半ばから後半。さて、どのような選択をしますか?その選択は、あなた達の投票、1票に集約されていると思う。20代を中心に投票率の低さは、マスコミなどでも取り上げられている。

もっと日本を知りましょう。もっと社会に眼を向けましょう。今ある生活が、これからも続くと思ってはダメだ。親が生きてきた人生の送り様が、あなた達も保障されていると思ってはダメだ。自分で考え、動き出すことが必要だ。物事を考える力をつけよう。