校長としての学びシリーズ3 経済産業省「未来の教室」

 7月3日にZ会ソリューションズが主催する「未来の教育を考えるシンポジウム~学習者中心の教育の在り方~」に参加してきました。メインの話は、経産省のサービス政策課 教育産業室長 浅野大介氏の「未来の教室」です。まず、浅野氏の肩書きに注目してください。経済産業省で、文部科学省ではありません。経済産業省が教育について考えているのです。実は、経済産業省は、以前から人材育成の観点から教育に関して様々な提案をしています。平成18年、今から10年以上も前には、「社会人基礎力」というコンセプトで次のような提案をしているのです。「前に踏み出す力」「考え抜く力」「チームで働く力」の3本柱で、これは現在文科省が提唱している「思考力・判断力・表現力等」という力にも共通する考えが含まれています。中々ユニークな提案をするのが、経産省です。

 さて、今回の浅野氏の話は、「未来の教室」です。経済産業省は、どんな未来の教育をイメージしているのでしょう。その前に、経済産業省は、現在の日本をどのように見ているのかを紹介します。

 経済産業省は、今の日本を「日本は課題先進国だが、課題解決先進国とは呼べない」と言っています。つまり、とてつもない速さで進行する少子高齢化、人口減少というのは、どこの先進国でも多かれ少なかれ経験することになるが、日本はいち早くその課題に直面している。ところが、その課題を解決するために、明確な方針を持たず、「課題解決に向けた先進国」になっていないというのが、浅野氏の見解です。意外にも、世界の中で、日本の生産性は、低いとさえ言われています。

 そこで、浅野氏の提案する人材は、「チェンジメーカー」です。現状を打破し、新たな課題を解決する人材です。「チェンジメーカー」とはどんな資質や能力を持った人材なのでしょうか?詳しくは、経産省のwebpageを見てほしいのですが、私が、気に入ったのは、次の4点です。

*圧倒的な当事者意識

日本の教育/社会では、CANとMUSTは育まれる。他方、社会を切り開き、課題解決を主導できるのは、 WILL (自分の意思) がある人だけ。

*創造力

0から1をつくることができる力

*周囲を巻き込むリーダーシップ

変化は一人では完結できず、周りを巻き込みながら推進することが不可欠。

他者とつながる力・関わる力

*レジリエンス(果敢な失敗と、回復力)

まだ勝算が見えていなくとも/正解がなくても「一歩目」を踏み出す力。

成功するまで継続し続ける力、折れない心、しなやかさとたくましさが重要。

これらをまとめて、浅野氏はキーワードして「50センチ革命×越境×試行錯誤」ということを提唱しています。とにかく、浅野氏の講演は、「目からうろこ」の連続でした。経済産業省は、日本の経済の牽引する省庁です。とかく、社会から離れていると言われる学校現場の者としては、最先端の問題意識に触れる機会が持てて、とても勉強になりました。経済産業省の未来の教室については、下記のURLにアクセスしてください。詳しい情報が、掲載されています。近未来の教育がそこに描かれています。

https://www.learning-innovation.go.jp/