「下町ロケット」とSDGs

 みなさん、1月2日TBS系列で放映された「下町ロケット」新春特別番組を観られましたか?年末で最終回を迎えたシリーズの続きとして描かれた特別編です。最終回を観た人の中には、「うーーーん、消化不良!」と思った方もおられたと思います。今回の特別編で「スカッと感動!」という方も多かったのではないかと思います。なぜなら、私も今回のドラマには大いに感動したからです。

 今回のドラマには、企業の論理の「壁」というものが描かれていました。トランスミッションの不具合でリコール寸前まで追い込まれたダーウィンを救えるのは、佃製作所の技術しかなかったのです。しかし、その技術開発は、まさに血のにじむような努力。その末に獲得した技術でした。易々とライバル企業に提供するわけにはいかない、というのが当然の従業員の気持ちですし、企業の論理です。

 ところが、あろうことか台風の接近により、収穫直前の稲が危機に直面します。その危機を乗り越えるために、佃社長を先頭に社員が手伝います。そして、今までいがみ合ってきた農家への援助を「同じ米作りの農家じゃないか!おいしいお米を食べてほしいという気持ちに変わりはない!」と惜しみなく行っていきます。ライバル機種であるダーウィンを購入した農家に、大企業である帝国重工の財前部長が独断でサポートチームを派遣します。財前部長は、これが業務違反として取締役会で責任追及されます。そこで、財前部長が行った辞職覚悟の訴え、それを支持した藤間社長の英断、そして、ダーウィンへの技術協力を決断した佃社長のスピーチ。そこには、企業の論理を乗り越えた「日本の農業の未来のために」という一つの大きな志がありました。

 このドラマを見て私は思いました。これはまさしく私がカードゲームで体験したSDGsじゃないかと。カードゲーム体験で同席したある民間会社の方も同じように思ったようです。年明けの仕事の始めに次のようなメールを送ってくれました。

そんな中、年始、「下町ロケット」を観ました。ライバルとも手を組んで目標を達成して行くという展開はまさにSDGsのストーリーだなと感じました。以前、ブームを起こした「半沢直樹」の倍返し!から時代は変わりましたね。

 あのドラマは、ドラマの中の話だけではないのです。現実の世界では、SDGsとして2030年をめざして、様々な人びとや企業・団体・NPOが動き出しています。今年1年生が取り組んでいるクエストエデュケーションは「ソーシャルチェンジ」。テーマは「困った人を助ける」です。このコンセプトを推し進めていけば、必ずSDGsに行き着きます。今年のクエストエデュケーション、ソーシャルチェンジの学びを、さらに視野を広げて世界的な流れに合流する生き方を見つけてほしいと思います。何を目指すにしろ、「それが世の中の人にどのように役立つのか?また役立ちたいのか?」その視点を持ち続けてほしいと思います。