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No.52 どうやって夢を形にするのか(第29回卒業式式辞)

 桜の芽吹きに新たな春の訪れを感じる今日の佳き日、大阪府立日根野高等学校第29回卒業証書授与式を挙行するにあたりまして、泉佐野市教育委員会 古谷大助様、地元中学校の校長先生方ならびに多くのご来賓のご臨席を賜りました上、多数の保護者の皆さまのご列席を得ましたことは、卒業生はもとより本校教職員一同にとりましても心からの慶びであります。高いところからではございますが、心より厚く御礼申し上げます。

 ご列席の保護者の皆さま、卒業生の皆さん、改めましてご卒業おめでとうございます。そして、私も皆さんからたくさんの力と元気をいただきました。本当にありがとうございました。

 29期生のみなさんは平成27年に普通科専門コース設置校に変わった本校の第一期生として入学してこられました。その時、私たち教職員は新しい学校体制への移行にたくさんの方々からの期待を感じながら、とても緊張していたように思います。あれから3年、新しい公立高校のカタチを探りながら、皆さんとその全ての時間を共有することができ、とても幸せでした。「日根野高校にきて良かったなあ。」と思ってもらえるよう全力で頑張ってきたつもりですがどうでしょうか、その答えはこれから皆さん一人ひとりが出してくれるものと思っています。そんな皆さんに校長として最後のメッセージをお贈りしたいと思います。

 今日ここにいる全員が4月には新しい人生に向かって飛び出していくことになります。ただ、新しい学校あるいは職場に入ったら、それで目標達成というわけではありません。皆さんにとって大切なことは、新しい学校や職場に入ってからどう過ごしていくかということで、これによって皆さんの人生が大きく変わっていくことになります。

 例えばこんな話をしてみます。英語の好きな人が、将来英語を活かせる仕事につきたいとして、どうすればそういう仕事につけるでしょうか。これから英語のスキルをどんどん上げていくことがポイントでしょうか。私は多分違うと思います。実際、就活の現場で採用されようと思いますと、そこには英語の得意な人が集まっているわけですので、英語が少々得意でも決め手にはなりません。英語ができることは採用への必要条件であって十分条件ではないからです。それだけで生きていけるほど簡単ではありません。では決め手は何かというと「英語を使って自分は何がしたいか。どんな人間になりたいか。」ということで、そこに人の心を掴むような情熱があるかどうかだと思います。面接官はそこを見ています。

 少し言い方を変えます。保育士になりたいとします。ただなれれば、それでいいのでしょうか。大切なことは「まずとにかく保育士になる」ということではなく「どんな保育士になるか。あるいは、保育士になるためにどんな努力を積み上げてきたか」ではないでしょうか。合格して採用されることが夢や目標であれば、最短コースで効率よく合格する方法を考えるのもいいでしょう。しかし、合格のための最短コースを走ることがあなたの人生にとって最良のコースになるのでしょうか。教わる子ども達にとって最高の結果になるのでしょうか。強い思いをもって子ども達に愛情をもって向き合える。そんな保育士になるには、合格することそれ自体よりも、どう努力をしたかのほうが問われるような気がしてなりません。

 夢に向かってまっしぐらに駆け抜けるのも若者らしさですが、目の前にあるいろんな課題に悩みながら、流すことなくじっくりと歩むことも必要。夢をかたちにすることは大切ですが、むしろどう夢をかたちにしたかにこだわってほしい。これが私から皆さんへ贈るメッセージです。

 最後になりますが、皆さんには3年間を共に学んできた友という大きな財産があります。人生に迷う時に振り返ることのできる日根野高校という心強いベースキャンプがあります。未来を創造する若さがあります。その自覚と誇りを持って、それぞれの輝かしい未来に向かって益々精進されることを心から祈念いたしまして、式辞といたします。

平成30年2月27日

大阪府立日根野高等学校長

      岸野圭吾

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