No.56 新しいカリキュラム

 学校の大きな教育方針は教育課程(カリキュラム)に表現されます。そこを精緻に作りこんでいくことが学校運営の「いろはの、い」と言えます。

 日根野高校が提供してきたカリキュラムを振り返りますと、12年以上続いた「普通科総合選択制」時代の色彩が色濃く出ていました。それはつまり受験学力あるいは座学を中心とする課程もさることながら、多様で体験的な学びあるいはフィールドワークを重視する編成を取っていました。いわゆる「座学の優等生」にとどまらず「生きる力」を育むための教育課程、言葉足らずを恐れずに言えば、そういう考え方であったと思います。

 この教育課程の理念は大変素晴らしいものですが、万能の理念かというと、それは少し違うかもしれません。当然ですが、高校はそれぞれの学校がそれぞれのミッションを帯びています。最高レベルの選抜性を持った進学をめざす学校もあれば、間違いのない就労をめざす学校もあります。本校のように、一定の選抜性を持った進学と特殊技能を要するスペシャリストを育成するための進学を組み合わせていく学校もあります。そのそれぞれが特色を持ちながら、地域特性や地域との連携の中で磨かれ洗練されていく過程を歩んでいる、そうとしか言いようがありません。

 さて、日根野高等学校のことです。ほんの少し前まで、本校に入学してくる生徒たちは多様な学びと体験を求めてやってきました。そしてめざす進路も多様であり、実際、バラエティに富んでいました。前期入試一本の学校だったということもあり、学力到達度の観点からも安定した生徒が入学してきました。後期に一本化された現在もこの安定感は変わっておりませんが、普通科に回帰することによって「多様な学びと体験」というよりも「深い学びと体験」を求める生徒が集まる学校となってきたように思います。どこに特化したかというと、難関大学進学と看護医療系進学と保育系進学の3つです。勿論、これ以外の進路を希望する生徒たちが不利を受けるわけではありません。

 このように考えていきますと、本校が提供すべきカリキュラムの姿が見えてまいります。

   様々ではないが主体的で深い学びと体験

 これをキーワードとし、カリキュラムを再編しました。生徒にとって自由度が高く、また集中して学びやすいカリキュラム。教師にとっても集中して教えられるカリキュラム。これを合致させることによるシナジー効果は大きいと判断しました。多様化を追い求めすぎず、様々ではないが主体的で深い学びと体験をめざす普通科専門コース設置校として、日根野高等学校は中堅公立高校としての新しいモデルを示したいと考えています。

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