校内の木々の緑が一層鮮やかになってきました。
生徒たちは今、体育祭本番に向けて応援団が中心になって練習に励んでいます。
開会式、閉会式で歌う校歌を練習する声が放課後の校舎に響き渡り、校長室にまで届いてきます。
今年もまた一生懸命が一杯詰まった素晴らしい体育祭を作り上げてくれることでしょう。
ところで、最近、Society (ソサイエティ)5.0 と言う言葉がよく聞かれます。
狩猟社会(Society 1.0)、農耕社会(Society 2.0)、工業社会(Society 3.0)、情報社会(Society 4.0)に続くもので「科学技術イノベーションが拓く新たな社会」とされています。
文部科学省の提言にはSociety5.0で求められる力の中に、基礎的読解力が挙げられています。
どのような社会になっても、重要な情報伝達は文書で行われます。それゆえ、基礎的な読解力はいつの時代になっても求められる力であり、生きていくために必要な力と言えます。
なみはや高校では生徒たちが卒業までに身につけてほしいことの中に、読書習慣をあげています。基礎的な読解力をぜひ身につけてほしいと思っています。
読書から得れる大切なことは他にもあります。
第一に、自分自身の成長につながります。
幅広い読書を通して、様々なものの考え方、ものの見方に触れ、それらを吸収することができます。また自分とは違った考え方であっても、それを理解しようとする柔らかな心を養ってほしいと思います。
人の成長は自分よりも優れた人に接することによって、その人の考え方に触れ、その人との対話を通してもたらされます。読書によって、優れた人の話を聞くことができます。しかもあらゆる分野の優れた人の考え方に接することができます。その出会いが、向上心を刺激し、人間性を高めることにつながっていきます。
第二に、読書によって多くの言葉を知ることができます。それらは考える力を向上させます。
人が何かを考えるときには言葉を使って考えます。一人で考え事をするときにも口には出しませんが、頭の中で言葉を使って考えています。
自分の中にある言葉の種類が少なければ、思考はある程度のところでストップしてしまいそれ以上深まらない可能性があります。また、細かいところまで考えることができなくなるかもしれません。多くの言葉を知っているということは、それだけ幅広く、深く、細かく考えることができるということです。
第三に、読書を通して勇気づけられることがあります。
日ごろから自分が考えたり、感じたりしていることと同じことを本の作者が書いているのを見つけた時、自分の考えは自分だけのものではなかったのだと、何か元気づけられるような気がします。自分以外の誰かが、自分より優れた人が、自分と同じ考え方をしていることを確認できることは、自分が肯定されたようで勇気づけられます。
また、自分よりもつらい経験が書かれている本を読むことで、自分の状況を落ち着いて見直すことができ、それによって慰められることもあります。
なみはや高校の生徒の皆さんが、すこしでも多くの本を読むようになることを願っています。