「ほんまに大阪は暑っついなぁ。セミも暑うて鳴いとらんがな」
「北やん、学校には復命書ってのがあってな、こないだの北海道出張の報告書を出さなあきまへんねん。それを校長ブログのコピペで出したら、こんなんあかんって突き返されましてな、北やんのボケを削除して、大阪弁を標準語にして出しときましたわ」
「ワシのボケは削除してええけど、校長はんのつっ込みはそのままでっか」
「ボケとつっ込みはセットで削除しとるわ」
「ところで、第12話で『視覚障がい専門教育は危機的な状況?』って危機感を煽っといて、そのまま放ったらかしになってまっせ」
「別に煽ってるわけやないけどな、今の視覚支援学校はいろんなことで専門性が育ちにくい環境になってまんねや」
「そら大変やな。いろんなことってどんなことや」
「まず一つは、児童・生徒が減ってることやな」
「それは前にしゃあない事やって言ってましたやん」
「いくら少のぉてもコンスタントに一人二人と子どもがおればええけど、ある学年はようさんおって、ある学年には一人もおらんってのがあるねん。そうなるとどうなるかわかりまっか?」
「う~ん、わからん」
「学校の先生には転勤ってのがあって、ある程度の年数いるとよその学校に転勤せんとあかんねん。これが二つめや」
「そらしゃあないやん。あんたらサラリーマンやろ」
「わてもある程度、転勤はしゃあないと思っとるけど、子どもの数が年ごとに増えたり減ったりすると、減った年にはベテランの先生から出て行くことになる。逆に増えた年は...」
「増えた年は、新しい先生が入ってくるんやろ?」
「新しい先生が入ってくるねんけど、その次の学年の生徒数がまた減るってわかってたら...、こういう場合は教諭やのうて臨時の講師があてがわれるんや。講師の先生があかんっちゅうてるわけやないねんで。ただ講師の先生は期限付きの臨時なんで長期的な育成ができへんのや。これが3つめやな」
「それで、専門性が育ちにくいっちゅうわけやな」
「だから、視覚支援学校では学級数を基に教員配置されては困るってずっと言ってるねん。それに転勤も他の障がい種の学校と同じでは困るってのも言ってるねんけどな。ルールやちゅうってな、なかなか難しぃんや、それが」
「校長はんは大変やな」
次回に続く