「校長はん、2学期が始まりましたな」
「今年から2学期とちゃいまんねや。今年度から前期後期制になりましてな、10月最初の月曜日から後期が始まりまんねん。今年度は10月6日が後期の始業になりまんねんで」
「そんなら秋休みなんかおますんか」
「今年度は専攻科だけ設けてまんねんけどな、来年度以降はこれから考えますわ。普通科までは保護者さんの事情もあるさかいに慎重に検討せなあかんねんわ」
「そら、そうやな」
「ところで北やん、子どもが少のぉなってるっちゅうことやけどな、それでも視覚に障がいのある子はおるねん」
「いくら少のぉても、おるわな」
「視覚支援学校だけやのぉて、支援学校に通ってる子どもの親御さんにとっては障がいのある子どもが生まれてきたときはそらショックやったと思うねん」
「そら、そうやろな」
「中途視覚障がいは自分自身が当事者やさかいに本人が障がい受容に悩むんやけど、子どもに障がいがあると、保護者自身が自分の子どもの将来を考えて、これも障がい受容に悩むねんわ。特にお母さんはものすごく責任を感じてしまう人も多いんやで」
「そうやな。今回は重い話やな」
「いつもの上方落語調ちゅうわけにはいかん話もあんねや。でもやっぱしこれまでのスタイルで行くわ」
「気ぃつけや、重い話を軽く言うと傷つく人もおるねんで」
「おっ、今日は北やんが慎重やな」
「当たり前やがな」
「ここは子どもに視覚に障がいがあった場合の話やけど、生まれてある時期になると「追視(ついし)」って言って、見たもんを目で追うようになる。北やんが学生時代に受けてたもんとちゃうで」
「そら追試や、ワシは受けてへん」
「成績よろしかってんな。で、見たもんに興味を示すっちゅうのは、頭の発達にとって重要なんや」
「何でや?」
「興味の積み重ねが学習していくちゅうことやねん。その追視がみられない場合は視覚障がいが疑われるねん。まっ、それだけではなく、もっと早くに医学的にわかるねんけどな。ここまでは医療の話や」
「今の医学は進んどるからな」
次回へ続く