歴代校長からの寄稿

Contributions from past principals

私の日根野高校

第2代副校長 藤本 恭作

 創立30周年、誠にお目出とうございます。 振り返れば平成元年4月、開校3年目の本校に2代目副校長として着任し、以後3年間学校運営に携わりました。当時、大阪府では高校生の急増・急激期にあたっており、その対策として「分校・本校方式」による3校が建設され、日根野校は府下最後の新設校でした。この「分校・本校方式」については世間一般の人たちには十分理解されていなかったように思われます。なぜ「佐野高等学校日根野分校」ではなく「佐野高等学校日根野校」なのか、という質問疑問の声が多くの方たちからありました。学校内では人事権・予算権とも副校長にあり、教育活動においても独自の存在でしたが、規則上は当然のことながら分校としての位置づけでした。
 平成2年3月、本校の第一回卒業証書授与式を挙行しましたが、府立高校最後の新設校ということもあり、多くのマスコミの取材をうけ、式の進行の様子がテレビ放映されました。その折、多くの人たちからの祝福の言葉がありましたが、その中でも式全体を通してみられた生徒たちのきびきびとした動きや真摯な態度、美しく整頓された校舎内外の様子について賞賛の言葉を頂きました。これらは創立以来の学校生活における教師集団のたゆまぬ指導のもとに生徒たちが自然と身につけたものであり、平素の美化活動の推進の結果によるものです。
 学習面においては、生涯学習の観点からも生徒1人1人が自己の進路目標を実現するための基礎学力の向上を目指すとともに、積極的に学習にかかわろうとする姿勢を身につけさせることに力を注ぎました。他方、生徒や保護者の進路意識の多様化や急激に国際化に進む地域社会の要求(関西国際空港の建設も始まっており、平成6年9月には開港)とも相俟って、特色ある学力づくりの一環として平成4年度から外国語コースがスタート出来るように準備を整えました。学力の向上をはかるとともに、部活動もさかんとなり、府高校大会や近畿大会に於いてもその力を発揮するようになりました。人権尊重の精神を養う教育には地域の人たちと手を携えて推進していくことが大切であり、講演会や交流会を通じて理解を深めることが出来たように思います。
 最後に、佐野高校日根野校の誕生から日根野高校として独立をしてから現在に至るまで、府当局、地元の泉佐野市、地域社会、PTA、後援会同窓会の方たちの並々ならぬ御協力、御援助に対して衷心より感謝申し上げるとともに、放課後遅くまで熱心に教育活動を続けてこられた教職員の方々に心より御礼申し上げます。

追記
 平成4年4月、佐野高校の校長として転任して以後も、平成6年4月に日根野高校が誕生するまでの間、本校の独立に関与することができました。当時、関係する各学校内には独立に関する検討委員会が設けられ、これと並行して、6校の関係者が何度も集まり「3分校独立検討委員会」のもとに各学校の独立に対する考え方や独立後の青写真について情報交換をしました。このことを通じて、それぞれの学校の立場の違いを認識しあうとともに、一致協力して新しい独立校のあり方を模索していくことを確認しあいました。