歴代校長からの寄稿

Contributions from past principals

日根野高校での思い出

第6代校長 松本 裕明

 創立30周年おめでとうございます。
 日根野高校は府立学校の中で最も新しい学校のひとつで若々しい学校という印象と、大阪府独自の教育課程である普通科総合選択制を取り入れている学校であるという認識がありました。着任してみると、校舎は創立22年目を迎える学校とは思えないほど隅々まで清掃が行き届いていて、清潔感にあふれた美しい学校でした。また生徒たちは礼儀正しく、まじめでおとなしいというのが第一印象でした。私が在籍した2年間で、特に印象に残っている思い出を述べさせて頂きます。
 さて、私が着任した平成20年度は、それまでの2学期制を改め3学期制に変更した年でした。進級・卒業に係わる重要な事項なので、それまでのシステムに慣れている2・3年の生徒や保護者に対して、思い違いや混乱を生じさせないようすることが最も大切であると思い、先生方にくれぐれも留意するようお願いをしました。先生方の尽力で特に大きな問題もなく経過することができ安堵しました。またこの年は府知事が交代した年で、多方面にわたる予算会計の見直しにより、それまでのような予算執行が認められない事態が頻出しました。難渋するなか、PTAをはじめ後援会や同窓会の皆様にご無理をお願いせざるを得なくなりました。4月からの予算は暫定予算ということで学校管理費のマイナスシーリングや学校三師(学校医・歯科医・薬剤師)への報酬見直しなどにより、三師の先生方や教職員にも少なからず無理をお願いする事態となったことを残念に思いました。また、諸経費の見直しにともない、修学旅行の実施について憂慮する意見もあり、従前のように行事を遂行できるよう先生方にお願いしたことも思い起こしました。
 翌平成21年度の大きな出来事としては、前年から世界的に流行していた新型インフルエンザのことです。この新型インフルエンザにより、5月には教育委員会からの指示により18日(月)~24日(日)まで1週間全府立学校が休校・登校禁止(クラブ活動も停止)となりました。本校は20日(水)から中間考査を予定していましたが1週間延期するなど行事の見直しをせざるを得なくなりました。緊急事態における連絡のあり方が全府的に課題となる事態であり、校内的にも緊急連絡網などについて改めて考えさせられる事態となりました。この新型インフルエンザはその後も流行が衰えず、本校でも学級閉鎖をするクラスが出たり、9月に予定していたスワンリーチ校からの訪問も中止という事態になり、生徒たちにも寂しい思いをさせることとなりました。
 また、年末には府教委から新年度(24期生)の募集定員の発表があり、本校は1学級増の7学級となりました。物理的要件から普通科総合選択制を実施するにあたり1学年6学級が適切であると思っていましたので大変驚きました。そのような状況のなか、先生方の工夫と協力を得て対応できる体制をつくり、何とか次の校長先生に引継ぐことができました。
 わずか2年間の在籍でしたが、生徒をはじめPTA、後援会、同窓会、そして何よりも先生方のご協力を得て大過なく過ごすことができたことに感謝しています。
 最後に、私たちは変化の激しい時代に生きています。日根野高校についても、教育課程(普通科→普通科総合選択制→普通科専門コース制)や入試制度(前期入試→後期入試→前後期入試→一般入試、相対評価→絶対評価)など社会の情勢に関連して目まぐるしく変化してきています。しかし、そのような変化に流されるのではなく、果敢に対応しながら日根野高校としての歴史を着実に積み重ね、これからも地域に根差した学校、地域に愛される学校としてさらに大きく発展していくことを期待しています。