歴代校長からの寄稿

Contributions from past principals

日根野高等学校での2年間について

第5代校長 木村 俊一

 私は平成18年4月から20年3月までの2年間を勤務しましたが、教職員・PTA・同窓会の協力で創立20周年記念行事を挙行することができたことは大きな喜びでした。その記念式典には歴代の校長7人が揃って参加できたのに、そのお一人である三浦一二三先生が今年2月10日に逝去されて、この30周年記念式典に参加されないことは非常に悔やまれます。先生の人懐っこい笑顔を思い浮かべながら哀悼の思いをささげます。

 ところで、私は熱心な教職員と素直な生徒に恵まれたにもかかわらず、十分な成果を上げられないまま定年で退職いたしました。初年度から、普通科総合選択制の制約の中であっても、教育課程において進学色を強めようとしましたが、教育委員会は認めてくれないだろうというあきらめもありました。普通科に総合選択制を導入する際、本校の意向が十分には反映されず、そのため、ひとり一人は教育に情熱と信念を持って熱心に取組むのですが、学校全体としては不十分で、これこそが日根野高等学校の教育である、とは言えない状態でした。

 また、学校教育活動で最も重視されるのは何と言っても授業であることから、教員の授業力向上のために全教員の授業見学を実施することにしました。私の予定をもとに全教員に授業見学の時程を示したうえで、授業を行う教員の都合での変更にも応じて実施しましたが、管理職に授業観察されることに不慣れなためか、心理的な抵抗は相当あったようです。授業力のある先生もいれば、これはちょっとと思われる先生もいました。経験の浅いときに、十分に教材研究や授業見学をすることなく、互いに切磋琢磨することもなく教員生活を長く続けていた先生の授業力はほとんど向上しないままでしたが、一方で、これこそ理想の授業だと認められる素晴らしい時間を生徒と共有できる先生方もたくさんおられましたので、この教員の力を結集できれば、日根野高校全体の教育力は飛躍的に向上すると確信できました。

当時の雰囲気は、自分の授業はしっかりとやるが、学校全体の方針に基づいて一定の方向で授業をしていく、ということは余り得意ではありませんでした。しかし、現在の日根野高校は後任の方の努力と教員の意識変化で雰囲気は大きく変化していると確信しております。

最後に、今の生徒達に私の期待する言葉を贈ります。
 :ひたすらに
 :粘り強く
 :のびのびと

創立30周年おめでとうございます。未来に向かってますます発展することを祈念いたします。