歴代校長からの寄稿

Contributions from past principals

私の日根野高校

第3代校長 首藤 保

 日根野高校創立30周年おめでとうございます。この機会に私の在任期間中の学校の様子を少しお話させて頂きたいと思います。
 私は平成11年から平成13年の三年間本校で働かせて頂きました。着任時の本校の財産は、典型的な中堅校(問題行動もなく、おとなしく良い生徒)で、先生の異動希望の多い学校でした。加えて、創立時から二足制を実施し校舎内がずば抜けて綺麗な学校でした。これは教師の生徒指導力が優れている証に外なりません。
 私は着任して一学期間を日根野高校の現状、先生、生徒、保護者、部活動等を掴むことと決めていました。私は早速教頭に過去5年間の入試の倍率、内申点の推移、卒業状況、部活、生徒の遅刻数、懲戒件数等々学校の持てるデータの推移をまとめるようお願いしました。すると、各データは見事に一致しました。それは長期低落傾向です。私はそれらを表とグラフにまとめその考察として低落を止めるために、今何かをやらなければならないと結論づけ、職員会議で全教職員に配り、本校の現状認識を共有しました。
 次に先生の把握ですが、創立からの生え抜きの先生が十名程度おられ、構内の美化や新入生4月宿泊合同合宿実施等の行事を支えていることが直ぐわかりました。これは初代校長の有難い遺産です。ここからは私の仕事です。足で稼ぐしかありません。とに角、学校内を歩き回りました。先生のいる部屋に飛び込み、コーヒを飲み、世間話に花を咲かせました。お蔭で一カ月もすれば私の頭の中に先生間の相関関係図が大体できあがりました。生徒の現状は遅刻数、服装、懲戒件数で大体のことはわかりますが、これでは不十分です。6限目の終了のベルが鳴ると私は校長室を出て生徒と話し、清掃の様子、その後の部活動を丹念に見て回りました。その際、体操服の胸には生徒の名前が書いてあるのでついでに覚えていきました。そして校長室に帰り、クラス写真を眺め顔と名前の一致を図りました。すると、2学期の後半当たりになると全校生徒の8割くらいの顔と名前が一致するようになりました。当然生徒の意見や情報も入ってきます。これは先生方の基本的な信頼を得ることに役立ちました。また副次的に生徒が家で話すのか保護者の理解と共感も得られたようです。 二学期に入り、本格的に学校改革に着手しました。教務主任の提案で「二学期制」の導入です。当時、北野、大手前、天王寺、布施の四校が先行しています。二学期中頃に資料と共に提案、議論百出の末に来年度より実施と府下五番目の実施が職員会議で決定です。
 二年目は二学期制の実施に取り組みました。これは府教育委員会を驚かせたようです。急遽、「普通科総合選択制」の実施校に指定してきました。これは教育課程の根本的な改編を意味し、二学期制の比でない大改革です。私はこれは大変だと思い、反面チャンスでもあります。本校に改革のため資金も教員の加配に加え、宣伝も大々的にやってくれます。そして「大変」という心配も杞憂でした。俗に、止まっている車を動かすのには大きな力がいるが、動きだした車は少しの力で済むの譬通り二学期制を実施しながら、総合選択制改革へのマスタープランづくりも楽々やってくれました。三年目は改革実施のための具体策の細部と全教員への共通理解の徹底に費やしました。一例を挙げれば、入学希望者への面接が必要で、面接内容、評価基準、面接練習の共通理解の共有です。ともあれ、忙しい充実した三年間でした。会議に継ぐ会議と先生方は本当によくやってくれました。当時の先生方に初代校長のスピリットにただ感謝、感謝です。