スマホの使用について

 去る5月11日(金)、NIT情報技術推進ネットワークの篠原嘉一さんを講師にお迎えして、1・2年生対象に「インターネットと人権」という講演会を開催しました。この方の講演は、一方的に話を聞くのではなく、実際にスマートフォンを持っている生徒ならそれを講演会場に持ち込み、篠原さんの指示に従って、「安易にスマートフォンを使うとどんな危険と隣り合わせになるのか」を実体験する内容です。近隣の小学校や中学校でも講演経験が豊富で、府立高校でも多くの学校で講演をされています。

 「安易に無料アプリに登録すると、それであなたの個人情報は相手に渡ってしまう」

 「スマートフォンを使っているだけで、位置情報が知られ、あなたの居場所がわかる」

 「ネットに書き込みをしたら、永久に消えない。今や多くの企業で行われているが、就職試験を受けにくる学生の名前をネットで検索、過去の書き込みを確認している」

 こういった話を具体的にされたので、生徒諸君もスマートフォンの使い方を真剣に考えてくれたのではないでしょうか。

 先日読んだ新書で東北大学の川島隆太教授の「スマホが学力を破壊する」という本があります。川島教授は仙台市と協力して、総計7万人を超える子どもたちを対象に、数年間に渡って大規模調査を実施。スマートフォンやアプリの使用がもたらす影響を解明し、スマートフォン使用のリスクを警鐘されています。「スマートフォンを1日4時間使用すると、2時間分の家庭学習の効果が消えてしまう」「スマートフォンやテレビのながら行動が成績を一気に下げる」等々、興味深いものでした。読後の印象としては、「スマートフォンは使わないに越した事は無いが、そうもいかないだろう。それでも1日の使用時間を1時間以内に制限できれば、その悪い影響をかなり抑えることができる」と思いました。

 本校は、スマートフォンや携帯電話の校内の持ち込みを禁止しています。持ってきても下足ロッカーに入れて鍵をかけて、教室に持って来ないように指導しています。これは生徒にかなりの我慢を強いることになりますが、篠原さんは「高校時代の今、スマホを使わない時間を経験することは非常に重要。我慢することを覚えないと、将来の人生に悪い影響が出ます」と言われていました。また、川島教授の調査を見ても、自分でスマートフォンを使う時間を制限出来ないととんでもない将来が待っているようです。

 生徒諸君も保護者の皆様もスマートフォンの無い生活は考えにくいかも知れませんが、一度立ち止まって、その使い方を考えていただければと思います。