オープンスクールで語ったこと

 6月から続いた自然災害も一段落しましたが、まだまだ当時の爪痕が残っており、被災された皆様の一日も早い復興を祈っております。

 去る10月20日、阿武野高校ではオープンスクールを開催しました。200名近い中学生の皆さん、100名近い保護者の皆さんに参加いただき、在校生のパフォーマンス、体験授業、部活動体験や学校説明を聞いていただきました。その際に私から以下のような話をしました。(当日の話を整理してお届けします。)

 8月に、ある中学校の先生と話す機会がありました。その先生曰く、「高校1年生になった卒業生がよく遊びに来る。先日も進学先がバラバラの5名が遊びに来た。いろいろ近況を語ってくれるが、最も高校生活を楽しそうに話してくれるのが、阿武野高校に進学した生徒だ。大学に行くために高校を選ぶのではなく、高校生活を充実して送る為に阿武野高校に行っているのがよく判る」とのことでした。本当に嬉しかったです。本校生は、高校生活そのものを楽しんでくれているようです。ぜひ阿武野高校を選んで、充実した高校生活を送ってください。

 もう一つ、お話をします。OECD(経済協力開発機構)という国際機関があります。欧米だけでなく、アジア・中南米の国々が加盟した国際経済全般について協議することを目的とした組織です。この組織は、PISAと呼ばれる国際的な学習到達度に関する調査を進めています。つまり、世界標準の学力検査をしているわけです。そこで求められる学力(キーコンピテンシーと言います)の一つに「多様な社会グループにおける人間関係形成能力 (自己と他者との相互関係)」があります。これが日本の生徒は弱いとされています。この点も踏まえたのでしょうか、新学習指導要領(来年度から移行期間、2022年度から完全実施)でも学力については、「主体的・対話的で深い学び」が必要と書かれています。「対話的」がこれまでになかった概念です。

 また、大手都市銀行の幹部をしている私の友人が言っていました。「企業が求めるのは、自分と異なる立場の人とうまくコミュニケーションが取れるかどうか。今の若者は、有名大学を出ていてもそこが弱い。与えられた仕事はきっちりとこなすが、臨機応変に対応することが本当に苦手だ」。そこで私は聞きました。「高校時代にどんな経験を積ませたらよいと思うか」。彼は言いました。「本当に、出来るだけ自分と異なる立場の人との出会いを多く作ってあげてほしい。そういう人たちと同じ時間を過ごすことが大切」。

 阿武野高校では以前より「つながり」を重視した教育活動を行ってきました。その際に、自分と立場の違う人とのつながりをどう作るかを意識してきました。キーコンピテンシーでいうところの「多様な社会グループにおける人間関係形成能力」ですね。また、新学習指導要領で示された「対話的で深い学び」にも該当します。そして、私の友人が望む高校時代の体験にもダイレクトにつながります。

 阿武野高校では、高校生とは異なる立場の人と出会えます。保育園や幼稚園、小学校の児童との交流があります。高齢者の方との交流があります。障がいのある生徒と同じ空間で授業を受けます。地域の障がいのある方とスポーツを通じて交流します。地域の外国人の方と交流します。アメリカの高校生が本校に来校し、一緒に授業を受けます。アメリカに短期留学して、異なる文化を体験できます。いろんな立場、いろんな年齢、いろんな文化の人たちと出会える阿武野高校をぜひ選んでください。