3学期終業式を終えて

 不規則な天候が続き、昨日の合格発表も雨模様の中での発表でした。それでも、合格した受験生の皆さんは喜びを爆発させてくれていました。この想いを忘れずに、これからの高校生活を送ってほしいものです。一方、残念なことに不合格となってしまった皆さん、皆さんが次のステップに進んでくれることを祈っています。

 今日は昨日の天候が嘘のように晴れ渡り、在校生の皆が元気に参加して、平成30年度3学期終業式を執り行うことが出来ました。生徒の皆さんの笑顔を見ているとこちらも元気になります。ありがとう。

 さて、終業式では以下のような話をしました。

「おはようございます。皆さん、3学期の終業式に参加出来るということは、進級が出来たということ。おめでとうございます。仮進級の皆さんもいますが、ひとまず2年生の皆さんは3年生へ、1年生の皆さんは2年生になれました。良かったですね。

 10日ほど前、野球の日本代表がメキシコと親善試合を行い、二日連続でテレビ放映されました。日本は一勝一敗。侍ジャパンは、来年の東京オリンピック、その翌年のWBCに向けて練習を重ねています。その試合の次の日、3月11日は東日本大震災から8年を迎え、こちらも新聞やテレビ、ネットでいろんな特集が組まれていました。

 この侍ジャパンと東日本大震災について、少し話をします。6年前の第3回WBC大会、第2ラウンドで日本は台湾と戦いました。9回表に同点に追いついた日本は延長戦で勝ち越し、4対3で台湾に勝利しました。日本が喜んだのはもちろんですが、なんと試合終了後、台湾の選手たちがグランドのピッチャーマウンドに集まり、円になって日本の観客に深々と頭を下げたのです。

 負けたチームが勝ったチームを応援してるファンに感謝の意味で頭を下げる。しかも、試合後に台湾のファンが掲げた旗には「日本おめでとう」の文字が...。めったにないことです。その背景にはこんなことがありました。 それは間もなく震災から2年を迎える2013年3月6日のことでした。一人の日本人がツイッターにこうつぶやきます。

『東京ドームで、日本-台湾戦を観戦する予定の方へ。震災での台湾からの義捐金のお礼を横断幕やプラカードで伝えて下さい。台湾国内ではWBCの注目度が非常に高いです。台湾の皆さまへ改めて感謝のメッセージを送る最大のチャンスです...』

 台湾からの多大な支援。そう、意外と知られていませんが、先の震災で200億円を超える義捐金と400トンを超える援助物資を送ってくれたのが台湾だということ。そればかりか、震災の翌日には世界のどこよりも早く救助隊を派遣することを表明してくれたのも、また台湾でした。「そんな台湾にお礼をしよう」WBC日本台湾戦の2日前にそう呼びかけたツイッターは瞬く間に日本中に拡散しました。そして、その展開は日本だけにとどまりませんでした。台湾に感謝を示そうとした日本人の心が翌日には海を超え、中国語に翻訳されて拡散され、台湾の人をも動かし始めます。こうして広がっていったやり取りは、台湾のマスコミにも取り上げられ、多くの人に知られることになります。ただ、この時すでに来日していた台湾選手達はこうした盛り上がりを知りません。試合当日、スタンドにはツイッターの呼び掛け通り、「台湾に感謝」と書かれた色とりどりのプラカードが...。

 それが1枚や2枚ではありません。プラカードの存在に球場で初めて気づいた台湾選手たち。そんな中、始まった試合はまさにWBC史上に残る名勝負となります。その名勝負は夜23時半を超えても決着がつかず、日本が1点ビハインドで迎えた9回2アウト、日本がついに同点に追いつきます。そして、次の10回表、ついに日本が逆転。その裏、最後にはまるで高校野球のようなヘッドスライディングを見せる台湾選手...。しかし、これで物語は終わりませんでした。喜びを爆発させる日本代表選手の後ろでベンチを出ていく台湾代表選手たち。彼らは全員でマウンドに向かうと、360度、スタンドの全方向に深々と一礼をします。

 『ホームグランドでもない私たちを日本のファンは応援してくれる、それに感謝したい』その姿に観客から惜しみない拍手が贈られました。『感謝には感謝で返す』、大切なことですね。

 さて、2年生3年生に進級できた皆さん。皆さんが進級出来たのは、もちろん皆さん自身が頑張ったからですが、それだけではありません。あなたを支えてくれた人がいました。それは友だちであったり、家族であったり、そして先生であったり。支えてくれた人にどうか、感謝をしてください。感謝できる人になってください。4月8日に皆さんの元気な顔が見られることを楽しみにして、私の話を終わります。」(参考:関西テレビ『Mr.サンデー』)

 今回も生徒の皆さんはしっかりと前を向いて、私の話を聞いてくれたように思います。私の想いは皆さんに届きましたか。