入学式

4月1日より芥川高等学校校長となりました冨山一紀です。よろしくお願いいたします。

本日午後、本校43期生となる新入生を迎える入学式を挙行いたしました。ここ数日暖かい日が続きましたが、校門を入ってすぐの場所の桜の木々は花をたっぷりと残して、新入生と保護者の皆様を迎えてくれました。

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令和四年度入学式式辞

暖かさを増す春風に舞う桜の花びらがあたり一面を彩り、木々には新たな緑が芽吹き始めています。この春の佳き日に、多くの保護者の皆様にご出席いただき、令和四年度の入学式をこうして挙行できますことに、心から感謝申しあげます。

ただ今、入学を許可しました321名の新入生の皆さん、入学おめでとうございます。在校生、教職員ともども、皆さんを心から歓迎します。

さて、皆さんがこれから3年間を過ごすこの芥川高校のめざす学校像は「高い人間力と明確な目標をもち、弛まぬ努力をする生徒を育てる学校」です。今日は皆さんの入学にあたって、この中の「弛まぬ努力をする」ということについてお話しします。この場で私がお話ししたいのは、結果がほぼ見えた時、もしくはいったん結果が出てしまった後の姿勢についてです。

昔から、努力を続けることの大切さを伝えるたくさんの言葉の中の一つに「努力に勝る天才なし」というものがあります。「目標のために努力する人は、生まれつき優れた才能を持つ人より秀でている」という意味で使われることが多いようです。持って生まれた能力に関わらず、いかに忍耐強く努力を継続するかによって、立派な物事を成し遂げられるかどうかが分かれるということを教えてくれていると言えます。

幸いにして物事がうまくいった時に、「これでもう十分」とその結果に満足して歩みを止めてしまったら、いずれは努力を続けている人に敵わなく日が来るでしょう。また、努力しても思うような結果が得られない時に、「どうせやるだけ無駄だ」と投げ出してしまっては、それ以上の向上や前進は望めません。良い結果の後で次の目標に向かってまたスタートが切れるかどうか、良くない結果の後で、心が折れずに努力を続けられるか。「努力に勝る天才なし」のポイントはここにあります。

とは言っても、うまくいかないことが続いたときに、気持ちを立て直すことは難しいですね。では失敗した自分を肯定し、また努力できるようになる考え方のコツは何でしょう。

最近読んだ本に、ゲームがそのヒントの一つになる、と書いてあるものがありました。ゲームをやっていてどこかのステージが1回クリアできなかったから、とか、将棋を指して1回負けてしまったから、というぐらいで嫌になっていたのでは楽しめません。うまくいかないたびに、何が自分の失敗だったのか気づくチャンスがあり、少しだけ経験と知恵が増えた状態、いわばミスすることによって前より少し賢くなった状態でまたやってみるのではないでしょうか。やってみて、うまくいかなくても自分のミスのおかげで少し賢くなって、「よし、今度こそは」とまた挑戦してみる。今日は「努力」という言葉を繰り返し使うので堅苦しい感じになりましたが、遊びの中で「努力」などと肩肘はらずにおそらく誰もが経験しているこの試行錯誤を、何かを成し遂げるために、夢をかなえるために、諦めることなく繰り返してみてください。そしてここにいる新入生みんなが「努力に勝る天才なし」を実感してもらいたいと願っています。

ところで、この話が書かれていた本には、諦めない気持ちでものを学ぶためのポイントが2つある、とも書かれていました。1つは自分の失敗を素直に認めること、もう1つは安心して小さな失敗を試せる場所を見つけること、だそうです。1つめは自分自身の心がけの問題、常に心に留めておいてください。2つめは、学校がまさにその場所になるはずです。授業だけでなく、部活動や行事、周りの仲間と過ごす時間など、小さな失敗を試せる場面が学校生活の中にはたくさんあります。これからの3年間、辛いときは友達やおうちの方、先生達の助けを借りながら、芥川高校の生活にしっかり浸ってください。勉強で、部活動で、行事で、生徒会活動で、安心して小さな失敗を試し、また仲間の小さな失敗を笑顔で受け止めてあげてください。その時間の積み重ねは諦めない気持ちを育くむだけでなく、きっと皆さんの心を豊かに育ててくれます。

最後になりましたが、保護者の皆様、お子様のご入学、誠におめでとうございます。高い所からではございますが、心よりお祝い申しあげます。大切なお子様が自立に向けて健やかに成長されますよう、教職員一同、教育活動に精一杯取り組んでまいります。どうぞ、本校の教育へのご理解とご協力をよろしくお願いいたします。

新入生の43期生の皆さんが、仲間とともに明るく前向きな学校生活を送り、努力を惜しまない逞しい心を育て、夢をかなえる第一歩を踏み出してくれることを祈念して、私の式辞といたします。

令和四年四月八日

大阪府立芥川高等学校

 校長 冨山 一紀