夏休み前のあいさつ

            出世する方法 ~

 

春の始業式の集会で、夏休み前に「出世する方法」を教えると約束しましたので、少し話をしてみます。

少し前に、この春に卒業したY君が来ていました。ずいぶん落ち着いて、さすがに社会人だと思いましたが、「会社に入ってから洗車ばっかりしています」と言っていました。当然だと思ったのですが、単純な仕事に真剣に打ち込む姿勢が大切です。洗車もまともにできない、手を抜く社員は自動車を扱う会社には不向きでしょう。

折しも昨日、校長会の就職指導委員会で、民間人から校長になった方が、「新規採用者は、『なぜ自分がこんなことをしなければならないのか』という仕事を、6か月はひたすら我慢して行うことが大切」と言っておられました。この間に、会社はその人の適性を見極めて、次の配属を決めるそうです。その会社で、自分がしたい仕事があったら、最初に与えられた単調な仕事を一生懸命行うことが大切ということです。どんな会社でも眼の前の仕事を大切に丁寧にこなすというのが、出世への第一歩です。

 

 しばらくして仕事に慣れると、他人のあらが見えてくる時が来ます。「自分はこんなにやっているのに、周りはやっていない、いい加減だ」と、不満に思ったりする段階です。これは次の、自分を高める段階にさしかかった証です。「自分はそうしない。自分がやれることを精一杯やる」と思えたら、一本立ちです。愚痴を言って人に聞いてもらう、慰めてもらうというのは一種の甘えではないでしょうか。いつまでも甘え、周りに頼っていては、一人前になれません。

 

 さて、入社後何年目位でしょうか、一人前に仕事をしっかりとこなし輝き出すと、次は目上の人からいろいろと声がかかって来ます。この段階が一番難しいのです。自分の生き方とのぶつかり合いという面で、自分の価値観を問われる段階が来たわけです。以前、「自分が真に大切だと思うことを軸にして、この社会でしっかりと生きてゆく」ことが大切だと伝えましたが、その自分の貴重な時間を、本当は行きたくない飲み会や接待ゴルフに使うことをどう考えますか?○○君、どうする?「・・・・。」

断ったら出世できないかもしれないし、出世したい、少しでも多く給料をもらいたいというのも、その人の価値観ですから、良いと思います。ただこの段階まで来ると、気が付くと、その組織・会社の中で真ん中から少し上位まで出世しているのではないでしょうか。

 

この先は私にはよくわかりません。組織につきものの派閥でうまく立ち回るというのも、出世に価値を置けば当然かもしれません。政治家の世界でも生々しく見せられますが、あれに似た図が、日本中で展開しているでしょう。本来は、自分が大きく輝いて他者を自然に退けて上昇するというのが理想ですが、古代中国の「聖人」と言われる孔子でも、あちこち旅をして自分を売り込んだりしたようですから、現実の人間社会では無理なのかもしれません。あとは、一人ひとり自分で考えてください。

 

さて、君たちは社会人への準備をしています。毎回、説教するようですが、高校を出ていてこんなことも知らないのか、と言われないように、そして自分が恥をかかないように、授業中は授業に集中して欲しいと思います。これまで集中できていなかった人は反省し、次の授業に備えてください。

 

今年の夏は厳しいようです。栄養のバランスや体調管理に気を付け、乗り切って行きましょう。