後期始業式のあいさつ

          我慢は優れて人間的な行為である

 短い秋休みでしたが、体調を整えることが出来ましたか?さて、突然ですが、なぜキリンの首が長く、象の鼻が長いのでしょうか。キリンは大きく分類すれば牛の仲間、つまり祖先が同じということです。

1.始めからそのようにできているから。

2.高い所の食べ物を食べたいと思い続けていたら長くなった。

3.首を伸ばして食べているうちにだんだん伸びた。

4.偶然首の長い子供が生まれて出て、生き残って子孫を作ったから。  どれが正解でしょうか。

 自然界では(人間でもですが)、突然変異といって、親と少し違った子供ができることがあります。おりしも今日のニュースで、「白茶」のパンダが見つかったと言っていました。こうやって生まれた子が、「白黒」パンダより環境に適応して生き残り子孫を残したら、そのうちパンダは白茶になるでしょう。

 もう一つ例を出しましょうか。人間はなぜ太りやすいのでしょう。ダイエットの広告ばかり目立ちます。「やせ薬」はあっても「太り薬」はないです。これも、キリンの首が長くなったのと同じ考え方で説明できます。いまでこそ暖衣飽食の時代ですが、人間は飢えに悩まされた時期が長かったのです。江戸時代でも何度も飢饉があって飢え死にする人もいました。こんな時に、どんな人が生き残ったのでしょうか。もう、答えはわかりますね。栄養効率の良い人・脂肪をため込みやすい人が生き残る確率が大きいわけです。その子孫だから、我々は太りやすいと説明できます。

 このような考え方を「適者生存の法則」といいます。自然の法則です。鉄則と言って良いと思います。以前触れた「クロマニヨン人やネアンデルタール人が滅びたのに、現生人類が生き残った」のもこの法則によります。同時に動物は本能に従って行動しています。実際、活動している時間のほとんどは餌探しです。これらいくつもの法則に縛られて、淡々と生きている訳です。ところが、人間は「理性的」だと言われます。例えば、いつごろからか、「なぜだろう」と考えるようになったのです。先の「キリンの首が長いのはなぜだろう」。最初は「神様が創った」で満足していたのですが、これにも疑問が生まれて、とうとう「適者生存」の理論に至りました。また、行動面では、「やせ我慢」ができるようになりました。これは道徳的・倫理的行動の原点です。食事のマナーや交通マナーは、自分本位の行動を我慢することです。授業中にスマホを見るのを我慢するのは、人間らしい理性的な行為です。餌やりで「待て」と命じられた犬は、我慢しているように見えますが、しつけられてしているだけでしょう。一方人間は、ついにはみんなで申し合わせて法律まで作っています。つまり人間は本能を超えて自分を変えられるのです。これが最も偉大なところだろうと思います。

 前々から言っていますが、自分がなろうとする人になれる。また、自分で生き方を決められるのは人間だけです。将来なりたい自分をイメージして、日々努力してほしいと思います。急に寒くなったり気候の変動の激しい時期になりました。体調に気を付けて日々を過ごしてください。