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2台のVOCA(音声コミュニケーション支援機器)を用いた意思表示の練習

1. 教材名

2台のVOCA(音声コミュニケーション支援機器)を用いた意思表示の練習

2. 教科・領域

自立活動(課題学習)

コミュニケーンの表出の基礎的能力にかんすること

言語の受容を表出に関すること

3. 対象児童生徒

小学部ABグループ

5年生児童(筋緊張が強く上下肢に動かしづらさがある。視覚障がいがある。)

4. 活用場面

【ねらい】

意思表示やコミュニケーションをより豊かにしていけるように、2台のVOCAを左右の手で入力し分けて「はい」「いいえ」を表出することができる。

【方法等】

①市販の録音ボタン(1台1,000円程度)を2台用意してVOCA(音声コミュニケーション支援機器)として使う。

②それぞれの録音ボタンに「はい」「いいえ」の音声を録音する。

③ プラスチックダンボールとPPシート(いずれも100円ショップで購入)で専用の台を自作し、右側に「はい」、左側に「いいえ」のスイッチを設置する。

台を自作することで、

・スイッチ面の段差を解消し、手指の引っ掛かりによるミスタッチを防ぐ

・常に同じ位置にスイッチがある環境をつくることで、対象児童が手探りで操作できるようにし、操作と音声再生に一貫性を持たせて因果関係の理解を促す

の2点をねらいとした。

④ 対象児童が使用する座位保持装置のテーブルに、位置を合わせて設置する。

⑤ 対象児童が実際に使用し、段階を踏んで使用方法を学び、活用場面を増やしていく。

・スイッチを押すと声が再生されることを知る。押すことができたら必ず指導者が反応(言葉かけ)を返す。

・右手で押すと「はい」、左手で押すと「いいえ」と再生されることを知る。左右の手を動かし分けることを意識できるように、片手ずつ触れながら言葉かけを行う。

・本人が好きな活動、やりたい活動を問いかけ、「はい」と押せたらそれを行うようにする。(例:鈴で遊ぶ、お茶を飲む、マットに降りる 他)

・授業場面で活動の順番を決める際に「やりたい人?」と問いかけ、「はい」と押すことができたら活動順に反映する。

・朝の会におけるの出席確認で、呼名に対して「はい」と押して応える。

5. 成果と課題

【成果】

・低学年期より玩具をスイッチで動かす学習を継続して行ってきたため、スイッチを押すと音声が再生されるという因果関係をすぐに理解することができた。周囲の人たちが反応して声をかけてもらえるのが嬉しいようで、やりとりを楽しむように意欲的に取り組むことができた。

・「はい」「いいえ」を押した結果で、その後の周囲からの対応が変わることを感じる経験を繰り返す中で、「はい」「いいえ」の言葉の持つ意味をしだいに理解し、押し分けるようになってきた。

・やりたい活動を問いかけられると自ら右手を動かして「はい」のスイッチを押そうとすることができるようになってきた。朝の会での呼名への応答や、「マットに降りる?」などの日常生活に関わる問いかけにも、音や声をよく聞いたうえでスイッチを押して答えることができるようになった。声も積極的に出せるようになってきた。

【課題】

・本人の身体状況(筋緊張が強く上肢の動かしづらさがある、手元の見えづらさがある)を考慮し、使用を重ねながら随時改良を加えていった。(例:2つのスイッチを隔てるめやすとなるようにPPシートと感触が異なるフェルトシートを貼る 他)本人が快適にスイッチに入力できるよう本人の状況に応じて、今後も必要な改良を行っていく。

・本実践を通して、自分から発信しようとするコミュニケーションへの意欲が高まっている様子が見られたため、今後もVOCAを活用したやり取りを増やし、引き続きコミュニケーションへの意欲を高めていく。

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