「何と...」

  先週は数人の先生方の授業を拝見しました。若い先生が臆することなく新しいことにチャレンジする姿や、ベテランの先生の年月を重ねて積み上げてきた知識を惜しみなく、さらにさりげなく伝えられる技術を目にし、改めて教えるということの奥深さに気づかせてもらった一週間でした。一つの映像を準備するのに要する時間、そしてそれをどの順番で生徒に提示するのか、また、以前の、そして今後の授業とどのように関連づけていくのか、無数の選択肢の中から目の前に展開されている授業がある。そう思うと感慨深いものがありました。いずれまたこのブログの中でも丁寧にご紹介させていただきたいと思います。

  授業見学の際、英語の先生から「進度との関係で少し時間があるから校長話しませんか?」というオファーをいただきました。ふつうはここで遠慮申し上げるところなのですが、うれしさが先に立ち3年1か月振りに教壇に立たせてもらいました。上記お示ししたように様々な先生方の非常に丁寧で、緻密な授業を見学しておきながら、その場で思いついてお話したことを自戒の念も込めてここに記載いたします。

  小テスト後、「スペルがm、nで迷った」という言葉が聞こえたので、これを学んでもらういい機会だと思い、「何と」「難波」「軟派」と板書し、リピートしてもらいました。おそらく一年生の皆さんは笑顔で「何と」と大声でリピートを促す校長に不安を覚えたことだと思います。すべてを声に出した後、ペアワーク(対面は禁止です)で一つ仲間外れを見つけてもらう作業をお願いし、正解が得られた人の挙手を待ちました。勢いよく上がった手、正解の「何と」そして明快な理由説明。

  彼は弁舌さわやかに「難波」「軟派」は後ろに来る文字がP、Bつまり唇がひっついたところからスタートする音なのでその前のスペルは上下の唇がくっつくM、「何と」はひっつかないのでNということを伝えてくれました。鳴りやまない拍手の中、もしこの活動を通して情動が動き、音を通してスペルの違いを学ぶことで、長期の記憶への入り口を意識することができればなあと願いました。

  一方向だけの勉強に行き詰ったときに、少し観点を変えてみたり、五感をフル活動させることで活路が見いだせる。そのような学習態度を身に着けることができると長期的で、継続的な学習も可能になりますね。

  たった数分間、教壇でお話をしただけですが背中の汗は滝のように流れ、声はかすれてしまいました。毎日、周到な準備をして、生徒の前に立たれている先生方、そしてそれを真摯な態度で受けている生徒の皆さんに改めて敬服です。

  明日から中間考査。最善を尽くす皆さんの姿を思い浮かべ健闘を祈ります。Good on you!