No Now New

晴天の温かい日差しの中、第40回の卒業式が行われました。保護者の方々やご家族の方をお迎えし、たった一人の在校生代表の心からのメッセージ、送辞。卒業生3人からの想いの詰まった、答辞。

世界にたった一つしかない「辞」。面と向かうことを禁じられた1年の最後の日となるこの日、お互いの想いを受け止める日となりました。保護者、ご家族の方にとってお子様を学校でご覧になる貴重なあるいは初めての機会となったことだと思います。

送辞、答辞の中であふれた感謝の言葉「ありがとう」を胸に抱き40期生の皆さんの旅立ちの時、卒業おめでとう!

以下に卒業式の式次をお示しします。

令和3年度 第40回 卒業証書授与式 式辞

記録的な大雪に見舞われ、非常に寒さの厳しい冬でしたが、先週末からようやく春の温かさが感じられるようになってきました。この早春のぬくもりのある佳き日に、第40回卒業証書授与式を保護者の皆様やご家族の方をお迎えし、挙行できますこと、心から厚く御礼申し上げます。

卒業生のみなさん、ご卒業おめでとうございます。みなさんの前で直接お話するのは、体育祭に続いて2回目、そして今回がFinal Speechです。これまでの放送での各学期の式辞では、目の前にいないみなさんに感染状況の厳しさについて伝え、その予防のために面と向かわないで、1人で食事をするようにお願いしたり、食事中に会話を控えるように指示をしたり「~してはいけません。」ということを伝えることが多かったように思います。

修学旅行を実施できなかったこと。40期生の皆さんの心に大きなダメージを与えた出来事です。だからこそ、体育祭の実施は必須で学校のカギを握る大きなポイントであると感じました。4月に赴任して以来、40期生の担任団の先生や係の先生そして体育祭のリーダーの生徒たちの代表の人たちとの話を通して何とか体育祭が実施できないかを検討しました。しかし、緊急事態宣言の発令、本校休校による部活動の公式戦の棄権、コンテスト等の中止が相次ぎ前へ進んでいくことが非常に厳しい日々が続きました。

生徒が自分たちでマネジメントをして、自分たちで作る学校。自分たちの力で何とかしていく姿を見たいと思っていたある日の朝、北側の駐輪場で自転車が一列大きな音とともに倒れていきました。ほんの一瞬の時間に数名の生徒が駆け寄り、示し合わせたように自転車を元通りに立て直し、何事もなかったかのようにさっと散らばっていったのです。人に対して親切であることを躊躇せず、すぐ行動に移し、そして見返りを求めないその姿に芥川高校の生徒の皆さんの可能性を感じました。

その可能性が次々と開花する瞬間が訪れました。制限された時間の中で部活動をしながら、棄権をした次の大会で中央大会への進出を果たしたり、トーナメントを次々と勝ち上がり強豪校との試合までたどり着いたり、展覧会への出品や定期演奏会や発表会への参加、全国大会での表彰を受ける等々逆境の中でできるタスクをみつけ、全力を尽くすことで大きな成果を残してくれました。体育祭は活動時間を短く、活動人数を制限しながら準備をすることで9月へ延期、実施の方向に向かい、体育祭当日の発表では、あの短い準備期間の中で、短縮された発表時間の中で作り出されたダンスだとは思えないくらいに動きが統一され、みんなが一つの目標に向かってよいものを作ろうという姿勢が示される、完成度の高い魅力あふれる一笑懸命の演技でした。文化祭では感染症対策に注意しながら演劇に取り組み、一瞬を一生に感じる時間を自らのものとしている姿を目の当たりにしました。この両行事への40期生の取り組む姿勢は、生徒会の執行部や応援リーダーの想いを体現するものとなり、1・2年生へ受け継がれるものになったと確信しています。

感染症の猛威が吹き荒れる中、何度も心くじかれ、そして何度も起き上がり素晴らしいパフォーマンスを見せてくれた40期生の皆さん、いつも、あなたたちの「感じる心」、「言葉にする勇気」、「行動する力」からエネルギーをもらいました。本当にありがとう。

苦しいことのほうが多かったかもしれない3年間、お子様を支え、毎日送り出し、お迎えくださった保護者の皆様、お子様を芥川高校にお預け下さりありがとうございました。40期生は先ほど申し上げたように後輩に、教員に、そして芥川高校に大きな活力を与えてくれました。

何度もいろんな場面でNoを突き付けられた40期生の皆さんは、その度にうねりWaveを起こしました。NoにWを加えたのです。その瞬間NoはNowになり、いいえと言われた、その瞬間、つまり「今」何をすべきかを考えた。そして持てるエネルギーをできる何かに注ごうとした。その瞬間NowのOはエネルギーのEにとって代わりNewになった。否定されるところから、今(その瞬間)、何をすべきかを考え、新しいものを生み出す。それが40期生の力です。コロナウイルス感染症とともに歩むこの社会の中で、進学先で、就職先で、あなたたちのその力が必ず必要とされるはずです。躊躇することなく、遺憾なくみなさんのそれぞれの力が発揮されることを心から願い、祈り、私の式辞といたします。

令和4年2月28日 芥川高等学校 校長 高江洲 良昌