平成26年度 入学式式辞

本校に隣接し、鎌倉時代から伝わる石灯籠で知られる春日神社の桜が咲き誇る今日の佳き日、晴れの入学式を迎えることができました。

新入生のみなさん、本日は大阪府立茨木工科高等学校・定時制の課程にご入学おめでとうございます。あわせて関係者のみなさまにも心よりお祝いを申し上げます。先ほど、40名の新入生の入学を許可いたしました。教職員一同、みなさんを心から歓迎いたします。

さて本校は、ものづくりを学ぶことを大きな柱とした、定時制総合学科の高校です。高校生に求められる基礎的な知識の習得とともに、じっくりと真剣にものづくりやものづくりにかかわる内容について学んでいただきたいと思います。日本の根本を支えるものづくりを究める心意気で学んでいってほしいと思うのです。

それと同時に、ものづくりを通して人の大切さに気付いてほしいと考えます。みなさんがこれから取り組む、ものや道具には大きな特徴があります。それは目的をもって作られるということです。自動車は道路を走るために作られている道具です。空を飛んで太平洋を横断できないし、そもそも空を飛びたいとも考えません。早く走ることの次に空を飛びたいと考え、飛行機を作ったのは誰でしょうか?人間に他なりません。

最近コンピュータが将棋でプロの棋士に勝ったというニュースもありました。しかしそのコンピュータやプログラムを作ったのは誰でしょうか。人間以外の何者でもありません。正確に言えば「コンピュータという道具を使った人間が、自分だけで戦った人間に勝った」ということです。「コンピュータ」を「石器」や「鉄器」と置き換えれば、みなさんが歴史で学んだとおり、過去何度となく繰り返されたことです。あくまでも主人公は人間なのです。

あるフランスの哲学者が「人間だけが自分で自分を作り上げる存在だ」と述べました。どのような人にもなれる可能性を秘めているのが人間なのです。ぜひ、理想的な自分・こんな風になりたいという自分を思い描いて、自分づくりをしてください。これは日々の学業や仕事と真剣に取り組むことで必ず実現できると思います。また同時に、一緒に自分づくりをする仲間たちを大切にしてください。

定時制課程は原則として4年間のカリキュラムで授業を行います。みなさんは焦らず、じっくりと成長してほしいと思います。桜の花を見てください。早く咲き、もう散ってしまった木もあれば、これから盛りを迎える木もあります。命があれば、いつか必ず花は咲くというということも心に刻んでおいてほしいと思います。

結びにご来賓の皆様にお礼を申しあげますとともに、ご列席の皆様のますますのご発展を祈念し、祝辞とさせていただきます。

     平成二十六年四月八日         

                 大阪府立茨木工科高等学校 定時制の課程

                               准校長 小河原康雄