H25年12月24日2学期終業式 あいさつ

2学期終業式 あいさつ

 この秋、来年度から毎日45分7限授業にすることに決め、皆さんに伝えました。皆さんの何人かに、何故7限にするのかと尋ねられました。今日は、なぜ45分7限にするのか、私の思いを話したいと思います。
 今、高石高校では週2回50分授業の7限目があります。そのため、授業が終わる時間が日によって異なります。45分7限にする理由は、授業終了を毎日同じ時間にするということです。
転勤してきて、7限目に寝ている生徒が多いと聞きました。ところが授業見学をしたところ、7限目に一人も寝ていないクラスもあれば、1限目から寝ている生徒もいました。ほとんどの生徒はしっかりと授業を受けてくれているので、7限目の問題ではないようです。寝てしまうというのは、授業の間、集中力を維持できないということです。三日坊主という言葉があるように、何か事を続けるには、強い精神力が必要と考えられていますが、私はむしろ「慣れ」が必要だと思っています。続かないのは、慣れていないことをすると、すぐに疲れてしまうからだと思います。
 皆さんは小学校から学校で授業を受けることには慣れています。でも、高校の授業は始まってすぐに本題に入るので、授業が始まると気持ちをサッと切り替えなければなりません。1限目から授業に集中できていない人は、授業前のオフの気分が続いている可能性があるので、切り替えに慣れる必要があります。
 皆さんにとって授業はオンの時間で、集中力が必要な状態です。それ以外の時間はリラックスしたオフの状態です。友達としゃべる・逆に一人ですごす・本を読む・体を動かす・音楽を聴くなど、リラックスする方法は人によって様々ですが、できるだけ短時間で切り替えることができれば成功です。
 オフの時間である放課後も、部活動をする・講習を受ける・図書室や自習室で過ごす・家に帰るまで過ごすなど人により使い方は様々ですが、部活動や講習では、新たにオンへ切り替える必要があります。このような日常生活におけるオン・オフのスイッチは、同じ時間帯に何かちょっとした行動をすると、案外意識せずに切り替える事が出来るようです。毎日同じ時間なら、体は慣れてきて、精神力を必要とせずに切り替えができるようになり、短時間のうちに集中できるようになります。
 実は高石高校では、オンのスイッチが昔から設けられています。朝皆さんが登校してきて、授業が始まるまでの「朝の読書」の時間です。10分間読書に集中することで、授業を受けるスイッチがオンに入るのです。この時間に友達としゃべってすごしたりしてしまうと、オフの状態が続いてしまい、なかなかオンに切り替わりません。
ところで、スポーツ前にほとんどの人が準備運動・ウォームアップをするように、オンのスイッチの必要性は認識されています。でもオフのスイッチについては、オンが終われば勝手にオフになると思われていて、その必要性は案外認識されていないように思います。
 サッカー日本代表チームは今のザッケローニ監督になってパフォーマンスが安定してきたと、サッカーに詳しい人から聞いたことがあります。試合や練習の後にきっちり整備運動・クールダウンをするようになったからだとその人は言います。実は日本代表チームでも、時間が十分にない時など、今まであまりきっちりと整備運動・クールダウンをしていなかったようです。皆さんも時間がない時など、整備運動:クールダウンを充分にやらないことがあるのではないでしょうか。でも整備運動:クールダウンは、けがを防ぎ次もしっかりとパフォーマンスするために非常に重要なのです。
集中力も同じです。生活の中でずっとオンの状態が続くことはありません。集中力が続かない人は、しっかりオフの状態を作らないので、次のオンの状態へ上手に切り替えられなくなっているのです。意識的にスイッチを切り替えないと短時間でオフの状態になりません。
 今、授業が終わる時間は日によって変わるので、体がオフのリズムを覚えられず、しかも7限目のあとは放課後ほとんど時間が残っていないので、十分気持ちの切り替えができないまま部活動を始めたり、急いで家に帰ったりしているのではないでしょうか。もし皆さんが学校生活で充分にパフォーマンスを発揮できていないことがあるなら、このためではないかと思っています。
 オンへの切り替えができているので、皆さんは1時間目を静かにはじめています。だからこそ、もっと豊かにオフの時間をすごしてほしい。スムーズにオフへ切り替えできれば可能だと信じています。少なくとも皆さんが学校で過ごす時間だけでも、毎日同じ時間にオフのスイッチを設けたい。これが、45分7限授業に踏み切った理由です。
 ところで、馬を水飲み場まで連れて行くことはできても、水を飲ませることはできない(You can take the horse to the water, but you cannot make it drink..)という英語のことわざがあります。水を飲むという自発的行為は強制できません。同じように、オン・オフのスイッチを設けても、それは皆さんの後押しに過ぎません。サッと切り替えてリズムのある生活ができるかどうかは、皆さん自身にかかっています。
 大人になるまでに、皆さんに自分で自分の時間を管理できるようになってほしい。そして、安定したパフォーマンスができるようになれば、信頼される人材として自分に自信を持って社会へ出て行けると信じています。
 いつも本を紹介しています。今回は坂木司(さかき つかさ)の小説を紹介します。主人公は深く考えずに仕事にかかわりますが、その仕事に面白さを感じて真剣に取り組むようになります。皆さんも仕事について考える機会にして下さい。皆さんの今後に期待して、2学期終業式の挨拶を終わります。
 和菓子のアン (光文社文庫) ¥ 700  切れない糸 (創元推理文庫) ¥ 924
ホテルジューシー (角川文庫)¥ 620  シンデレラ・ティース (光文社文庫) ¥ 600  

(2013.12.24)