平成25年3学期始業式あいさつ

3学期の始業式のあいさつ                       平成2618

あけましておめでとうございます。平成26年が始まりました。皆さんは年の初めに今年の抱負というものを考えたでしょうか。抱負なんてまったく考えたことがないという人がいるかもしれませんが、今年はこんなことを目指そうと抱負を考えるのは、いいことだと私は思います。

昨年4月の始業式で、2年生・3年生の皆さんに、始業式は気持ちを入れ替えて取り組むきっかけである「リスタート」だという話をしました。リスタートとは、一旦止まった流れを再開するということです。野球でフォアボールやデッドボールの後の初球に絶好球が来たり、サッカーではフリーキックで得点する確立が非常に高いように、リスタートはチャンスを呼び込む絶好の機会です。スタートはまったく白紙からですが、リスタートは成功体験だけでなく、失敗体験も経験値として生かすことができるのです。お正月も、古い年が終わり新しい年が始まるリスタートです。ただし、4月に始まり3月に終わる日本の学校年度では、お正月は4分の3が過ぎた地点であり、まだ流れは完全に止まっていません。皆さんは、この日本の学校年度におけるお正月の位置を、上手に利用することができます。

皆さんにとってこの年明けは、どんな時期でしょうか。3年生にとって、高校生活はもうすぐ終わりです。すでに進路の決まった人は、目標が決まったのですから、最後までどう取り組むのかを丁寧に考える時期です。これから進路決定に挑戦する人は、取り組むべきことがはっきりしているので、最後までいかに効率よく過ごすかを考える時期です。2年生と1年生の皆さんは、進級に向かってこれまでの学校経験をどう生かすかを考える時期です。

つまり、新年の抱負を考えるというのは、高校生の皆さんにとって、3学期を上手に終えて、4月から大きく踏み出すための作戦を立てることになります。

アメリカでも年の初めに抱負を立てる習慣があり、新年の抱負を英語では"New Year's Resolution"と言います。ところが、アメリカ人の6割が最初の1カ月で、8割以上が2カ月もしないうちに挫折しているといいます。201312日のTime Management Ninjaというインターネットニュースの記事は、挫折するのは、自分の力では及ばない実現不可能な「願望」を抱負にしてしまうからだと述べています。奇跡を待つのは新年の抱負ではないと言っています。そこで、実現可能な抱負を立てるアドバイスをしようと思います。内容は、「3学期効率良くいい成績を取る」です。3学期は1年のうちで最も短い学期なので、取り組みを続けやすいと思います。

1885年にドイツの心理学者、エビングハウスが、意味のない数字を記憶し、時間がたってから、どれだけ覚えているかを実験しました。結果をグラフにすると、忘れる率は学習したあとすぐが急激で、だんだんなだらかになっていきました。具体的には、20分後に4割、1時間後に6割、1日後に7割、1週間後に8割を忘れていました。

これを逆に利用する勉強法があります。学習内容を長期間忘れないでいるには、学習してすぐ見直す、次はしばらくたって見直す、そしてかなりたってからまた見直すと言うものです。実際の学校生活に合わせてみましょう。授業が終わる直前に、1分でいいので、その日の授業内容をノートや教科書で見直します。そして、次回の授業の最初にも、前回の授業内容をさっと見直します。当然試験前にもう一度見直します。これをどの授業でも繰り返します。

つまり、それぞれの授業の最初に前回の授業内容を、最後にその日の授業内容を、さっと見直してみるということです。ただし、授業中寝たりしゃべったりしていると、見直すことができなくて、結果として学習へのモチベーションを下げてしまいます。3年生でこれから受験するという人は、内職などせずに毎時間の授業に集中し、これを試してみてはどうでしょうか。3年生にとって3学期は短いので、期末考査の結果に有効だと思います。1年生・2年生の皆さんも、3学期に納得いく成果を上げることができれば、自信を持って、春に臨めると思います。

2学期の終業式で、ONOFFのスイッチを切り替えることが、次の集中力を生むという話をしました。今回は、授業の前後で、一人ひとりが自分でONOFFのスイッチを切り替える、具体的な方法について話しました。授業のたびにスイッチの切り替えにうまく成功すれば、1年間の仕上げである3学期を上手にOFFできて、今度は春にしっかりとONのスイッチを入れることができると思います。

最後にまた本の紹介をしておきます。講談社新書の「16歳の教科書」です。「ドラゴン桜」という漫画がきっかけとなって作られた本です。国語・数学・英語・理科・社会・心理学のそれぞれの専門家が、「なぜ学び何を学ぶのか」について述べています。

学年末に向けて、皆さんが納得いく成果をあげることができるよう期待しています。

このあと、デンマークからの留学生、ゴメス君が日本語でスピーチをします。聞いて下さい。

これで3学期の始業式のあいさつを終わります。