3学期終業式あいさつ(H25.3.17)

 

3学期終業式あいさつ 140317

今日は今年度の締めくくりの日です。2学期始業式でのあいさつで、ネットでのトラブルを避けるにはどうすればいいかという話をしましたが、再び考えてみたいと思います。

「見るのは友だちだけ」「自分は特定されない」という思い込みは危険です。ネットに書き込んだ内容は、あっという間に広がってしまいます。充分に配慮しないと、自分が加害者にも被害者にもなってしまいます。被害者にならないと気付かないので危険なのですが、ネット上では相手が見えないので、人を責めるのも過激になりがちです。

ネットがあおるからかもしれませんが、最近「告発」が暴走しているような気がします。人はだれでもミスをしたり、間違いをすることがあります。でも反省して立ち直るチャンスも与えられていると思います。ところが、そのミスや間違いを、許せないような大きな問題と取り上げる風潮があるように思います。こんな話をするのは、昨年の12月に皆さんに見てもらった「ガレキとラジオ」という映画でやらせがあって、許せない・裏切られたという報道がありました。チーフプロデューサーの山国さんが皆さんの先輩であること、映画の売り上げはすべて南三陸町へ寄付されていることもあって、私は、事実は何か、そしてそれが報道されているような、とんでもないひどい行為なのか、しばらく様子を見たいと考えています。ボランティアでナレーションをされた俳優の役所広司さんは激怒していると報道されていますが、「この作品に参加した人間として、作り手側の志が高かったことは信じています。だからこそ、この作品の身の引き方として不足、欠点のないよう締めくくって頂きたいと心から思っています」とブログに書かれています。私も志の高い映画だと今でも思っています。

皆さんに山国さんからメッセージをいただきました。ここで読ませてもらいます。

 

高石高校の皆さまへ、映画「ガレキとラジオ」のプロデューサーの山国です。

既に、ご存知の方も多いかと思いますが、先週の報道で「この映画の一部に過剰な演出があり、出演者の方が心苦しく思われている」という記事が掲載され、世間を騒がせてしまいました。皆さんにご覧になって頂いた映画がこのような事になってしまい、大変申し訳なく思っています。また、上映会開催に向けて動いて頂いた、同窓会関係者の方々やPTAの方々、そして先生方に、ご迷惑をおかけしましたことを、お詫び申し上げます。本当に申し訳ございません。

報道で「心苦しく思われている」と書かれていた70代の被災者の女性と、映画の制作スタッフは良好な関係を築いていると認識していました。撮影カメラマンの事を息子のように思われているとお話を聞いていましたし、昨年末の地元南三陸町での上映会にもお越し頂き、大変喜んでおられました。また、地元の方々からのお話では、報道とは違う様子も次々と伝わってきています。ただ、震災で娘さんとお孫さんを失くされているという事もあり、お気持ちが不安定なところもあるかと、映画側としまして今はお詫びの思いのみを伝えさせて頂いた状況です。

「ガレキとラジオ」は、東日本大震災後に監督から「南三陸町の町民の方々を対象に、観た人に逆に勇気づけられるようなドキュメンタリーを撮りたい。それを長く全国に広めることで、震災風化を防ぎ復興支援につなげたい。自分たちは無報酬で構わない」と企画提案がありました。私としては、監督のその想いに賛同し、映画が動き始めました。

映画館での公開後は、「震災を風化させてはならない」「自分たちの町の防災意識を高めたい」という想いを持った方々から自主上映会の申し込みを頂き、やがてそれは全国に拡大していきました。

高石高校の皆さんにこの映画を観て頂くことで、「被災地を忘れないで欲しい」、「防災意識を高めて欲しい」そして「やがて社会に出る皆さんに、社会と関わる意味について考える機会を持って欲しい」と、上映会を企画・開催された実行委員会の方々の想いは本物です。それはどうか忘れないで欲しいです。

また、「'FMみなさん'というラジオ局を舞台に、自らが被災者にも関わらず同じ被災者である町民を喜ばせようと奔走していたこと」、またそれによって「笑顔になったり、勇気づけられたりした町民がいたこと」は、どうか覚えていて欲しいです。

今回の報道を受けて、多くの方々から、お叱りの言葉をたくさん頂きました。ネット社会の怖さも痛感しました。ただ、私にとって、この映画も、この映画をきっかけに出会った南三陸町の方々も、この映画の制作に関わった方々も、映画の上映会を通じて知り合った方々も、全てが人生の宝物です。これからこの映画をどうしていけばよいのかまだ分かりませんが、この映画で出来たご縁を大切にしながら、生きていこうと思っています。

この度はご迷惑をおかけして、本当に申し訳ございませんでした。

最後に、この映画に出演された元FMみなさんのスタッフが、先週の報道後に書かれたコメントを紹介させて頂きます。

・・・・・・・・・

言葉は時に残酷です。

 

「何が真実なのか」よりも

「何が大切なのか」なのではないでしょうか。

 

どうか奪わないで欲しいのです。

絶望の果ての果てに

希望を見出そうと必死だった我々の

あの思いまで奪わないで。

 

どうか振り回されないで欲しいのです。

あの時、感じた思いや、

あの時流した涙に嘘はないのだから。

 

私は信じています。

あの作品に出合ったすべての方々を。

・・・・・・・・・・・ 映画「ガレキとラジオ」 エグゼクティブプロデューサー 山国秀幸

 

 逆境に陥ったとき、その人の人となりが一番良く現れると言われます。迅速に誠実に対応することで、事後にむしろ評価が上がることさえあるのです。このメッセージを読んで感じたのは、皆さんには山国さんという先輩がいてうらやましいということです。

 今日は、今年度の締めくくりの日です。ONとOFFを大切にといつも伝えていますが、締めくくりということは、1年間のOFFということです。これから成績票が渡されますが、どんな成績でも、自分のことと受け止め、しっかりとOFFにして、4月からの新しい生活ではONのスイッチを入れて臨んでほしいと思います。

迅速に誠実に対応すること、そして自分にとって本当とは何かと考えること。これがキーワードになると思います。これで終わります。