平成26年度1学期始業式あいさつ(H26.4.8)

 

140408 平成26年度始業式のあいさつ

おはようございます。年度終わりと年度初めの式は2学年だけで、アットホームな感じがして、これもなかなかいいものです。

スタート・オーバーという言葉があります。辞書を引くと「やり直す」という意味がでてきますが、ジョン・レノンに「スターティング・オーバー」という曲があり、その歌詞では、今までの流れを踏まえた上で、新しく気持ちを入れ替えて臨むというような意味で使われていました。その意味で、今年は高石高校にとって「スターティング・オーバー」の年となってほしいと思っています。

新しく臨むことのひとつは、45分7限授業です。毎日ほぼ同じ時間に授業が終わり、オフのスイッチが入れやすいという理由から、反対もありましたが導入しました。朝、登校すると生活モードから学習モードへスイッチをオンにするのですが、オンのスイッチの特徴は、一定の動作や手順を繰り返すことで意識を集中していくことです。スポーツでは、イチローの打席での動作や、選手が試合前に円陣を組んで全員で声をかけることなどがあてはまります。高石高校では「朝の読書」の時間が、生活モードから学習モードに切り替えるスイッチの役目をしています。

放課後は、学習モードを放課後モードへオフにするのですが、一定の動作を繰り返すことで入るオンのスイッチと違って、自分でオフに切り替えるのは、なかなか難しいものです。切り替え上手は、「オンの終わり」を大事にしています。毎日同じ時間にオンを終えることで、案外スムーズに皆さんの中にオフのスイッチが記憶されていくように思います。45分7限授業で毎日同じリズムで生活でき、オン・オフが自然に切り替わり、翌日の学習への集中力も高まると信じています。

そのほかで上手にオフする方法は、やりきった感を持つことだと思います。ソチオリンピックの女子モーグルの上村選手は5度目の五輪出場で、メダル獲得が悲願でした。結果は4位で、試合後のインタビューは気まずくなるのでは思いましたが、上村選手は「聞きづらいでしょうけど、まっすぐ聞いてください」と自分から先手を打って相手を気遣いました。「攻めて滑りたいと思っていて、それができたので、すがすがしい気持ち」と語っていたように、上村選手にはやりきったという思いがあり、それがオフのスイッチとなり、インタビューで相手を気遣うかっこよさになったのだと思います。

ところで、今までの流れを踏まえるというのは、オンのスイッチである朝の読書です。本を読むには練習が必要で、私は朝の読書が、文字への抵抗感をなくすのに役立っていると思います。字に触れることが大切なので、コミックは避けましょう。文字情報から情景が想像できるようになると、文脈で言葉を理解することができ、記憶力の向上につながります。もともと視覚情報があるゲームの解説本、情景を想像する必要のない問題集や単語の本もやめましょう。課題や小テストの準備も情景の想像とは関係ありません。

朝読は、継続が大切です。継続していると、だんだん長い読み物も読めるようになります。読書は個人的な行為ですが、みんなで読む時間なので、私語はやめましょう。先生も一緒に読んでほしいとお願いしています。読む本は、事前に自分で準備して下さい。興味のある本を、事前に学校の図書館で探してきて下さい。

そして、友達や後輩に薦めたくなるような本を見つけてほしいと思います。人に本を薦めようとすると、この本のどこが気に入ったかを再度考えるので、記憶に残るようになります。書名や著者だけでなく、気に入った文章やセリフをメモするのもいいと思います。本の気に入ったところを説明できるようになると、面接試験などでも役立つかもしれません。

今日は、男女混合の出席番号順に並んでもらっています。新しく臨むことの二つ目です。昨年、式で男女が別に並んでいるのを見て不思議な感じがしました。男女混合で出席番号順に整列している学校から赴任したからで、昔から慣れていたわけでありません。大学生のころ(実は35年前)、リュックサックを担いでヨーロッパを1ヶ月半旅行し、北欧のノルウェーで、バスやトラックの運転手に女性が多いのに驚いたことがありました。よく考えてみると、バスやトラックの運転手は男性という先入観があったように思います。その後、港湾の20トンコンテナのクレーンのオペレーターになった卒業生の女性に、高いところにある操縦室はトイレが困りませんかと聞くと、男性も一緒ですよ言われ、自分の思い込みに気づきました。

日本では、社会に出て働き始めると、まだまだ女性の方が制約が多いのですが、それをどう思いますか。当然のように思っていたことも、ちょっと視点を変えると、実はそうではないのかもしれないと感じることがあります。皆さんも、視点を変えてみて、本当はどうなのかと考えてほしいと思います。今年は高石高校にとって「スターティング・オーバー」の年と言いましたが、皆さんにとっても、ちょっと視点を変えることで、「スターティング・オーバー」の年になるかもしれません。これで終わります。