言偏を糸偏に!

 「休校中の学校は出場が叶わない」競技団体によって少しずつ運用は違うかもしれませんが概ねこのルールの中で部活動の取り組みがなされています。出場辞退を決断せざるを得なかった生徒の皆さんの心を思うと、届けられる言葉が見つからず、心が痛いです。

先週の放送ではこう言いました。

 「少し協力してください。頭の中で描いてください。あなたにとって一番大事な人は誰ですか?顔を思い浮かべてみてください。」そして「自分自身とあなたの目の前、あるいは周りにいるすべての人を大切にしなければいけないと思えるようになってほしい」

 そして一週間、想像するには及びません。実際に試合への出場機会を逸する事態へつながってしまいました。新型コロナウイルス感染症に対して腹が立ち、悔しい思いをし、悲しみのどん底に突き落とされることが幾度となくありました。そのたびにルールができ、そのルールの前に立ち尽くし、無力感に陥る。その繰り返しです。本来はこの感染症が一番の憎むべき対象なのですが、ルールを作る人、ルールを守らせる人、ルールを守らされる人、様々な線引きの中でお互いがお互いに対して疑心暗鬼になっていく。そうなるしか道はないのでしょうか?

 芥川高校ではルールを超えるモラルで学校を作っていきませんか?お互いが線引きをして袂を分かつのではなく、目の前にいる人の部活動でのがんばりや進路実現のための努力を支えるために、食事中向かい合うことをやめる。自分がそうすることが、周りの人を大切にしていることだという意思表示、周りの人は黙って食べているその人に感謝ができる。言葉を交わさないことによって心が通じ合うということをみんなで確認しあいませんか?ほんの数十分我慢してください。一日の単位で考えると48分の1の時間。言葉を交わさないことで、お互いがお互いを慈しんでいる時をみんなで共有しませんか。

 では、この状況の中で、それで本当に世の中を変えられますか。そう問われたときに、大丈夫ですと答えられる力が私にはありません。できないことの多さに「息が詰まり」、打つ手がなく「手詰まり」になるかもしれません。そして結果、「諦めたく」なるのかもしれません。でも、諦めたくはありません。可能性が低いのかもしれませんが、クラブ活動、遠足や体育祭などの行事、高校時代にしか感じられない時間を経験してほしい。

漢字を思い浮かべてください。言葉を意味する「言偏」を、人と人をつなぐ「糸偏」に代えたら「諦める」は「締める」に、「詰まる」は「結ぶ」になります。

言葉を交わさずに、心と心が「結び」つく。望みをかなえるためにこまめな目標設定を行う。目の前の時間を大切にし、決して「諦めない」。何度も挫けて、それでも立ち上がり、身を引き「締めて」立ち向かえるそんなTEAMになりましょう。

芥川高校にいる生徒の皆さん、先生方、すべての方の力が必要です。体のどこかに糸を結び付けてください。みんなそれぞれがその糸を手繰り寄せてください。そしてみんなでその糸を紡いでこの困難を乗り越えていきましょう。