冬季休業前のあいさつ

           ~  食べることは自分を作ること  ~

 

先日は食事に関するアンケートへの回答ありがとうございました。主に食事回数と時間を聞いたものでしたが、朝型の人と夜型の人が半々でした。また、約半数の人が3回食事を決まった時間にとっているようです。

 

 本校でジュースと「ポテチ」を食べている人をよく見かけます。これは見事な組み合わせで、ジュースの糖分が短時間に体力を回復し、ポテチの脂分とデンプンが空腹をいやします。食事を手っ取り早く済ませるのに最適です。ただ、栄養的には問題があります。解決策は最後に言います。

さて、アンケートの「食事で困っていることがありますか」という問いに「何を食べたらよいのかわからない」という回答がありました。ここで一つ、自分の体は何でできているかを考えましょう。皮膚や筋肉はタンパク質、骨はカルシウムです。血には鉄分が多く含まれています。先の糖分やデンプンはクルマでいえば燃料です。自動車はそれで十分動きますが、人間は生き物です。実は我われの体は去年の今頃と現在、一年後で全く別物なのです。皮膚は垢という形で入れ替わりますし、大便が茶色っぽいのは血の鉄分の色です。つまり、入れ替わる分を絶えず補給しなくてはなりません。お相撲さんが引退して1年たつと筋肉が落ちてしまうことが多いですが、稽古をしなくなったからということもあるでしょうが、元あった筋肉を維持するだけタンパク質を食べなくなったというのが主な原因です。お年寄りが骨粗鬆症になるのも元の骨を維持するだけのカルシウムを取らないからです。小学生がすぐに骨折するというのは、体が大きくなっていくのに十分なカルシウムが入らないから、見かけは大きくなっても骨がスカスカだからでしょう。

 

先ほど、1年前と体は別物と言いましたが、大病でもしない限り鏡を見てもそう変わっていません。それは細胞の中の遺伝子が、次の細胞をそっくりにコピーするからです。年を取って皺が増えるのは、コピーの回数が上限まで来て細胞が減るからです。このコピー回数の限界が人間の寿命です。125歳くらいで上限になると言われています。ただ怖いのは遺伝子を傷つけることです。例えば放射線を浴びて遺伝子が壊れるとどうなるでしょうか。広島・長崎で爆心地の近くにいて奇跡的に火傷もケガも少なくて済んだ人たちがいました。その人たちはしばらくすると髪の毛が抜けて無くなり、歯茎から出血したりして亡くなりました。髪の毛が抜けたのは毛根の遺伝子が壊されて次の毛が生えないからです、細胞がコピーされなくなったのです。喫煙の場合もコピーされる細胞に少しずつ害を与え、癌の原因になったりします。

さて、栄養の話に戻ります。遺伝子がコピーを作ろうとしても材料がなけばできません。これは毎日の食事にかかっています。アンケートで「食事で気を付けるようにしていることは何ですか」という問いに「野菜を食べるようにしている」という人が何人かいました。これは大切なことです。ただ、甘いジュースとポテチに野菜という組み合わせはお勧めしません。大切なたんぱく質、カルシウムが抜けているからです。タンパク質はハンバーガーでも牛丼でも簡単に補給できますが、カルシウムは小魚を丸ごととか厄介なイメージがあります。実は簡単にカルシウムが取れるという食品があります。牛乳です。ジュースを牛乳に置き換えるだけでタンパク質、カルシウムが摂取できバランスが良くなる訳です。日々の食事は、これからの自分の体を作ることでもあります。これを自覚して、勉学や仕事に耐える強い体を作っていってください。

 

 今年ももうすぐ終わりです。いろいろなことがあったと思いますが、悪いことは断ち切って、新しい年を新たな気持ちで迎えましょう。年の変わり目は生まれ変わりのチャンスでもあります。少しでも自分が理想とする自分に近づいてください。