冬休み明けのあいさつ

 本年もよろしくお願いします。さて、新年早々残念な連絡があります。本校でも何人かの人が利用しているデリバリー給食について、来年度からの休止が決まりました。プリントを配布しますので、何かありましたら私まで申し出てください。昨年末にも伝えましたが、自分の体を健康に保つのは自分です。特にタンパク質、カルシウムの補給に気を付けて生活してください。

 社会の大きな流れから言うと、給食は利用者が減ったために経済的に成り立たなくなってしまい本校では休止になりました。経済の世界はあくまで数字の世界です。こうしたいという思いや願望は、そのままではゼロでしかありません。利益でプラスの数字が出て来なければ、業者は当然撤退します。これをしなかったのが社会主義国の国営企業でした。去年東ドイツやソ連の話で触れましたが、マイナスが積み上がるのを放置したため国全体が破たんしてしまった訳です。

現在の日本では、消費税が10%になる時点で軽減税率が導入されるとか、給付金が配られるとかいろいろな動きがあります。君たちにもそんな動きに興味を持って欲しいと思います。  

今日は、少し世の中の経済、お金の話をしましょう。ここで一つの表を見てもらいます。「千円、二千円、四千円」となっていますが、これは何の値段か解りますか?同じ業種です。握り寿司の並、上、特上?・・・~君どうですか?・・・答えは理髪店の料金です。なぜこんなに値段が違うのでしょうか。考えてみてください。店構えや、使っている整髪料なども要素ではありますが。一番大きな理由は「時間」です。おおざっぱにいうと、千円の店は主に駅の構内にあって10分、二千円の店は大規模店で30分、四千円の店は個人営業が主で1時間かかります。我われは、それぞれのライフスタイルに合わせて店を選べば良いのですが、仕上がりは確かに四千円の店が良いです。1時間かける訳ですから。千円の店は10分間で髪を切るだけの作業になります。顔そり、シャンプーはありません。どの形態の店もあちこちで営業しているということは、一般的に利益が上がっているとみてよいでしょう。料金を時間で割ると、10分間で千円の店は100円/分、他は67円/分です。千円の店が一番割高になります。

さて、店としてどの店が一番儲かるでしょうか。考えてみてください。・・・切れ目なくお客さんが入った場合、1人の理容師さんが稼ぐのは8時間営業したとして、千円の店は4万8千円、二、四千円の店は同じく3万2千円です。(理髪業の世界でお金持ちになるには、人を雇って店の規模を大きくする必要があることが解ります。)ただお客さんが切れ目なく入るということはめったにありませんし、10分千円の店だと理容師さんの体が持たないでしょう。人通りや地域性、ライバル店の存在などでどの業態があっているかが決まります。また、地方都市の住宅街に千円の店はありませんが、四千円の店はあります。駅のホームに千円の店はありますが、四千円の店は出来ません。これらの理由も考えてみて下さい。例えば一人暮らしのお年寄りが、1時間の会話を楽しむために四千円の店に行くこともあるでしょう。いろいろな要素でこの社会は成り立っています。

根本的に、良いものやサービス、手が込んだものが高いのは、人手が多くかかっているからです。世の中のものの値段は人件費から成り立っているという面が大きいです。良いものがやけに安いとか、例えばバナナの値段が50年間ほとんど変わらないといったことの裏には、安い賃金で働かされている人がいるということでしょう。

 君たちもしっかりと仕事をした代価としてきちんと賃金をもらい、その大切なお金をまず第一に自分の体の健康のために使うようにしてください。今年も健康で安全な生活を送るようお互いに努力しましょう。