雨水のころ

 雨水のころを迎えました。雪が雨に変わり、雪や氷は溶けて田畑を潤す水となる頃だというのですが、日本列島はまだまだ寒く、この時季に大雪になることも珍しくありません。今年は、その極端な例で、昨夜から大寒波が日本列島を覆い、日本海側では記録的な大雪に見舞われています。

 それでも忍び寄る春はさやかにと探してみると、グラウンド東側にある梅がたくさんの花を咲かせているのを見つけました。そっと鼻を近づけると、ほのかに甘い香りを感じます。

 梅が枝に鳴きて移ろふ鴬の羽白妙に沫雪ぞ降る  (万葉集 第十巻1840)

 この歌が詠まれた時代も、梅が枝に降り積もる雪景色は珍しくなかったのでしょう。

 梅の木から僅か10メートルほど南に、山茶花が真紅の大きな花をたくさん付けていました。山茶花晩秋から咲き始め、冬の間は町中のあちらこちらで咲いているのをよく見かけます。山茶花は春ではなく冬の季語です。

 さらに10メートルほど南に進むと、1本のロウバイ(蝋梅)がレモン色の可憐な花をたくさん咲かせていました。蝋梅の香りは梅とは比較にならないほど強く、甘くてとてもよい香りがします。春の訪れを感じさせる香りの一番は、この蝋梅の香りかなぁと思っています。いくら寒くても、やはり春はもうすぐそこまでやって来ているようです。