教諭からの寄稿

Contributions from teachers

「心に残る学年  ―21期生の思い出―」

21期教諭 中村 悦子

 21期生というと、2007年の1月、最初の担任会で、担任団のモットーとして「教員自身の心に残る学年にしよう」と決めたことが思い出されます。平均年齢50歳を超える担任団で、私自身もこれが最後の担任だというつもりで、自らの思い出に残るようなクラス作りに取り組もうと心に誓いました。
早速、4月早々に行われる宿泊研修に向けて取り組みを始めました。貝塚にある府立少年自然の家や和泉葛城山への下見、休日も返上してのしおり作り等大変でしたが、クラス対抗合唱コンクールやドッジボール・大縄跳びで盛り上がり、登山や野外炊飯に汗を流しました。2泊3日の宿泊研修は生徒にも高校生活スタートの仲間作り・オリエンテーションとして印象に残るものとなりました。
2年時には5月、校外学習で神戸の布引ハーブ園へ。各クラスが昼食会や思い思いの散策を楽しんだ後、班別行動で南京町へ移動。買い物や食べ歩きを楽しみました。行きのバスの中、クラスでやったビンゴゲームの景品で、「放課後に勉強教えま賞」よりも「老祥記で肉まんおごりま賞」の方が大人気だったことを懐かしく思い出します。
6月下旬には梅雨の大阪を後にして北海道へ修学旅行に行きました。ノーザンホースパークやポロトコタンを見学した後、ニセコペンション村で分宿し、ラフティングと体験学習に分かれて活動。私も生徒と一緒に分宿し、ラフティングを楽しみました。生徒に落とされた川の水の冷たかったこと!童心に返って楽しむことができました。また体験学習では泥温泉・アイスクリーム作り・いかだ下り・陶芸等々、各自が未体験のことに取り組みました。キロロマウンテンホテルに移動した3日目の夜は各クラスが出し物を競う全レクで盛り上がりました。修旅後のアンケートでもこれが一番の思い出として心に残ったとポイントも高かったのですが、今写真を見返しても、各クラスがそろいのTシャツでダンスや合唱・クイズに取り組んでいる姿は本当に生き生きとしています。修学旅行委員が何ヶ月も前からしおり作成やニュース発行・全レクの準備に取り組み、当日の進行も生徒自身の手で行い成功を収めたことに、生徒達の成長を感じました。
文化祭・体育祭にもこの21期生は熱心に取り組みました。1年生の時から夏休み中も何度もクラスで集まり文化祭の出し物の練習をしたり、体育祭にクラス旗やそろいのTシャツを作成したり、修学旅行でも全レクに取り組んだり、とにかく学年全体が全力で行事に取り組んだ学年だったと思います。3年のクラスでは私も一緒にセーラー服でダンスを踊りました。今考えても冷や汗ものです。
また、進路実現に向けても様々なことに取り組みました。日根野高校で初めてR―Cap(キャリア教育支援ツール)を取り入れ、1年時にクラスの仲間の前で各自が夢を語るといったホームルームをしたり、2年時には学年独自で「親と子の進路状況説明会」を土曜日に実施したりしました。保護者懇談は、毎回全員の保護者の方とお会いすることを学年の目標として実施していたので、ご家庭との連携も十分だったと思います。生徒自身も、模擬試験に1年の時から100名以上が受験したり講習に励んだり頑張りました。和歌山大学や関西学院大学・関西大学・警察病院看護専門学校等々に進学したり、希望した地元の企業に就職したりと各自が夢を実現させていきました。
今こうして振り返ってみると、担任団が団結し、学年全体で学級活動や諸行事に取り組んだことが懐かしく思い出されます。生徒自身も自分たちの実力と成長を確認できた3年間だったのではないでしょうか。
いよいよ卒業式の日、教室でのお別れも済み解散した後、職員室に何度か出入りしながら忙しくしていてふと気がつくと、生徒もまばらになった廊下にCさんがいます。もしやと思い当たりました。「もしかして私を待ってくれてる?」声をかけた私にこっくりと頷くと、Cさんは涙ぐんだ目で「3年間ありがとう」と言ってくれたのです。人一倍寡黙なCさんは私にお別れを言うためにずっと待ってくれていたのでした。このとき通りかかったN先生に撮ってもらった写真には、すっかり涙目になった私たち2人が写っています。