7月23日にオリンピックが始まり、連日金メダル獲得のニュースが舞い込んできます。アスリートがメダルを勝ち取れたのは2つのことを信じた結果だと思っています。
1つはオリンピックが開催されると信じられたこと。
そしてもう一つは自分自身をそして自分自身がやってきたことを信じられたこと。
スケートボードの堀米選手は海外の選手に「日本人にスケボーは無理だよ」と笑われたことがあったという記事を拝見しました。堀米選手は6歳から、阿部詩選手は5歳の時に柔道を始めてから、それぞれ16年の歳月を経て金メダルを獲得しました。
16年を振り返ると、その当時の勤務校での一コマがよみがえります。音楽の授業で英語の詩を歌うというワンポイントレッスンに招かれました。みんなで楽しく1曲歌い終え、進路指導室に戻ると一人の生徒が私を待っていました。彼女は「自分は曲を書いていて、英語の曲を書きたい。日本語の歌詞もメロディーも出来上がっているので英訳をお願いします」という依頼でした。後日、彼女の歌った2曲が入ったMDを参考にしてくださいと手渡されました。MDの中の曲は編曲済みの素晴らしいメロディーと素晴らしい歌詞。持てる力すべてを出し尽くして詩詞の日本語の意味を損なわないよう英語をつけて手渡しました。私が進路の責任者であったため、当然のように進路の相談になりました。担任の先生からは関関同立にも入れる力があるから、夢のような話は諦めなさい。クラスメイトからも陰で笑われたり、どことなく相手にされていないというような気がして、寂しい気持ちになるなど、いろいろと彼女の苦しい胸の内を聞きました。届く言葉を懸命に探し、「実現不可能と思われることを人から笑われても、馬鹿にされてもコツコツとやり続けた人が世の中を作っている。だから創り手として胸張って笑われるといいよ」という話をしました。うつむき加減だった彼女の表情が少しずつ柔らかく、明るくなり、最後にニコっと笑い部屋を後にしました。3月に音楽室でサヨナラライブを催し、大阪を旅立ちました。半年後、CMから聞き覚えのある曲が流れてきました。♫~流されてた自分にサヨナラ... 信じることですべてが始まる~♪歌詞に書かれてあるそのままの人生を歩み、翌年レコード大賞の新人賞を獲得し、多くの人に愛され素敵な曲を世に送り続けています。
願う、望む、祈る、強い想いを持つ。これに勝る力はありません。不確かなことばかりしか耳に入らない毎日の中で私たちを救ってくれるのは自分を信じるということしかないのではないかと思っています。私自身もこの7月、2つの願いが叶いました。人が言うと書いて「信じる」。自分を信じたアスリートの数々のパフォーマンスを目にし、自分の夢を、願いを、想いを形にする第一歩にこの夏休みがなることを願い、信じて1学期終業式の挨拶とします。感染症に十分に気を付けていい夏休みを過ごしてください。