Memorize Remind Remember

   2014年10月、ある研修の中で「一息で言い切れない文を何回も息継ぎしながら、思い出しながら再生することは英語を学習するうえで大きな効果があり、チャンクを意識し、書くことも読むこともどちらにもいい影響を及ぼす」という話を聞き、様々な文法項目が入っており、構文も意識し、なおかつ声に出したら元気になるような英文を探してまとめてみようという気になった。集められた108個の英文を通勤の行き帰りにもごもごと口にしながら全文を再生するようにした。欲深いので、もう少し短めの英文が入った英作文の本一冊と最終的には生徒が覚えなければならない英文集との計3冊の本の英文を丸ごと再生できるように約5年間かけてほぼ1000の英文と戯れた。

   2017年は生徒も必死で覚えているので戦いを挑まれた時に敗れないよう懸命に覚えた。その甲斐があり、ほぼ完勝に近い日々を過ごしていた。今年から、全く違う職務を全うすることになり、4月からの半年でうそのように1000文きれいに自分の脳から流れ出してしまった。4月は抗いながら、5月は半ばあきらめ、6月には自分に「去る者は追わず」と言い聞かせた。

   10月半ば卒業生とのやり取りの中で、「先生が年齢に関係なくどんどん覚えていくのに刺激を受けて頑張れました。」という一言をもらい、一念発起し、懐かしい英文たちに再会し、もごもごを再開した。Memorizeしたものはいったんきれいになくなっていた。少しずつ、まさしく、一文ずつ3冊の本のあちらこちらから再生を始めたら、どことなくRememberしていたものが、「この英文一つでこれだけたくさんの文法を学べるねんで」などと説明をした時の景色や心情を引き連れて、いろんなこととともに思い出せる機会を与えてくれた。ちょっとしたきっかけでRemindするものも多く11月末で今、130数個の英文が再生できるまでになっている。60歳手前の私でも、うまく自分と付き合えば"記憶した"ことが"思い出せ""覚えている"状態をKeepできることに驚きと喜びを感じている。芥川高校の10代の皆さんの頭はもっと柔らかく、そして心はもっとおおらかに対象をとらえることができるでしょう。私が思い出せている英文の数々は一緒に頑張ってくれていたその当時の生徒たち、今は卒業生になっている人たちとともにある。出会って、関わってきた多くの生徒たちに感謝する毎日である。

   さあ、来週からテスト一週間前、memorize, remember, remind 必ずいつか、どこかで、頑張ったことのご褒美がお土産持ってやってくる。今年最後のテスト、頑張っていきましょう!