1年生は5時間めは映画「めぐみ」を観て拉致問題について考えました。6時間めは、体育館で、コリアNGOセンターの郭辰雄さんを講師にお招きし、「共に生きる社会~朝鮮半島と私たち」の表題で話をしてくださりました。
今高生は、単なる次代のリーダーではなく、「共生社会をつくる」リーダーになることを大きな目標に掲げて学んでいます。言い換えると、自分一人が幸せになるために生きるのではなく、自分だけでなく、みんなが幸せに生きる社会をつくる人になる、ということです。この言葉をどのように自分の言葉に変えていくかはもちろん自由です。SDGsに掲げられている17の項目もそうですが、もっと身近なこと、例えば、自分の家族とか、友人とか、クラスとか、部活とか、あるいは自分の住んでいる町とか、ふれあうことの多い人たちが、自分と同じように笑顔になるにはどうすればいいのか、考えて行動することも大事だなぁと思います。
今日の10時半過ぎのことでした。朝から府庁に出張してちょうど学校に着いて、玄関に向かってアプローチを歩いていたら、駐車場にあった1台の乗用車が出ていこうと動き始めました。すると、玄関から出てきた1人の生徒がダッシュで正門の扉を開け、出て行く車を見送り、門を閉めて何事もなかったかのように食堂の方へ戻っていきました。
2学期初めの始業式で、生徒自治会主担の内藤先生から、「転勤してきた時は走って正門を開ける生徒が多かった」という話を聴いたからかもしれませんが、実際に100m近くも走って外来者のために開け閉めをした姿は本当に立派で、頭が下がる思いでした。
皆が幸せに生きるって、こんな行動の一つ一つがとっても大事だなと思います。
郭さんは、在日コリアン3世です。朝鮮と日本の文化の違いを示されながら、今では年間200万人もの人が日本から韓国に旅行に行き、食文化や伝統文化、K-POP、コスメやショッピングなどを楽しみ、相互理解が深まっているように見えますが、かつては、全く違っていたこと。例えば、今ではどのスーパーにもあり、沢庵の3倍も売れているキムチでさえ、かつては「朝鮮漬」と呼んで敬遠されていたことなど、生徒たちが知らない時代の実情について話してくださりました。
そして、そもそも大阪のコリアタウンがどうしてできたのか、どのような歴史があり、朝鮮半島から来られた大勢の方々が、どのような思いで日本で生活してきたか、話してくださりました。
「アイデンティティの葛藤」という言葉がスライドに映し出されました。郭さんは、大学に行くまで、自分が在日コリアンだと言うことができなかったのです。その想いを聴きました。その苦しみを感じました。そして、ここに住む皆が、平等に、幸せに、生きる町をつくることがどれほど大切かを改めて学びました。郭さん、有難うございました。