シリーズ授業㉘~2年「化学」遷移元素について

 10月22日(火)1時間めに2年「化学」の授業を見学しました。この講座は週4時間あり、理数系列選択者が履修しています。担当は塚本先生、1年で学習した「化学基礎」の内容をさらに深く学び、有機化学の分野までさまざまな物質の性質や反応等について、こってりと学習します。

 前回の授業まで典型元素について詳しく学習し、この時間から遷移元素について学びます。始めに先生は黒板に大きく周期表を投影して、「周期表で見ると、典型元素は縦に並ぶ同族の元素に似た性質があるのに対して、3族から12族の元素は横に並ぶ同一周期の隣り合う元素どうして似た性質があります。さて、それぞれの元素名は分かりますか。また、これらの元素にはどんな共通した特徴がありますか?」班になって一緒に考えながら答えていきます。

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 元素記号を見てすぐに分かる馴染み深いものもあれば、元素名は知っていても元素記号を知らないものも、あるいは、聞いたこともないような名前の元素もあることでしょう。生徒たちから共通していることは「すべて金属」という答えが出てきました。では、どんな性質を持った金属で、どのように利用されているのでしょう。これから詳しく学習していきます。

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 鉄(Fe)や銅(Cu)、金(Au)や銀(Ag)など古代から広く利用されているものや、現在、軽くて強い性質を生かして眼鏡のフレームやゴルフクラブ等の素材に広く利用されているチタン(Ti)や、金属元素の中で融点が最も高く3,000℃でも融けない性質を生かして電球のフィラメントに使われるタングステン(W)などが、生徒たちから知っている元素に挙げられていました。

 また、馴染み深いさまざまな合金の素材を調べると、いろいろな元素が使われていることが分かります。5円玉の真鍮は銅と亜鉛(Zn)の合金、50円玉と100円玉は銅とニッケル(Ni)の合金、それに亜鉛を加えて500円玉が作られています。また、鉄にマンガン(Mn)を加えた合金はとても強度が高く線路や鉄橋に使われ、鉄にニッケルやクロム(Cr)を加えた合金は錆びにくいステンレス鋼として利用されるなど、人間の知恵は凄いなぁと感心します。「ステンレス18-8」に含まれるクロムやニッケルの割合が確定するまでどれほどの研究や実験が繰り返されたのでしょう。私たちはその恩恵を受けているのですね。

 先生は、錯イオンを作りやすく、特徴的な色が付いていることが多いなど、共通の特徴を写真を見せながら示されました。

 次に、最も近い存在の「鉄」に焦点を当てて、人間の血液には鉄が含まれており、その臭いは錆びた鉄の臭いに似ていることや、工場で酸化鉄から鉄を精製する様子を動画で見せ、さらには、入試問題に「シアン化物イオン[Fe(CN)6]3- が頻出するなど幅広く教えられていました。生徒たちはとても熱心です。有難うございました。