立冬のころ~頑張る3年生(^^)/シリーズ授業⑱

 立冬のころを迎えています。東洋の季節は、立春・立夏・立秋・立冬で区切られていますが、これは太陽の南中高度、あるいは昼夜の長さによるところであり、例えば、冬は立冬(11/7頃)から立春(2/4頃)までで、南中高度が最も低く昼が最も短い冬至(12/22頃)が冬の真ん中になります。

 一方、西洋の季節は、概ね春分・夏至・秋分・冬至で区切られているので、例えば、秋は秋分(9/23頃)から冬至までで、立冬(11/7頃)のころが秋の真ん中になります。

 今年は昨日が立冬。昨日から冬だと言えば少し早すぎるように感じますし、かといって、昨日が秋の真ん中だと言えば少し遅すぎるようにも感じます。しかしながら、光で季節の移ろいを感じる東洋の季節感に魅力を感じます。いずれにせよ、立冬のころを迎え、晩秋初冬の季節と言えるでしょう。

 今日は一日冷たい雨が降りました。冷たい雨⇒木枯らし⇒小春日和を繰り返し、やがて本格的な冬がやってきます。

 ところで、先週は14時間の授業見学をしました。そのうち10時間が3年生。受験を控えた生徒も多く、どの授業も皆よく頑張っていました。明日からは授業公開週間。先生方が相互に授業見学をして、それぞれの良いところを吸収し高めあうことを目的にしています。 

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 11/4(火)1限に3年1組「古典探究」の授業を見学しました。担当は磯田先生、この時間のテーマは「源氏物語・葵・物の怪の出現」の一段落。前東宮妃で光源氏の叔母でもある六条御息所が、源氏との将来を憂い、「自分が生霊になているかもしれない」と思い始める場面から、当時の時代背景と併せて、細やかな心情の揺らぎや葛藤、あるいは強い情念について、つぶさに読み解いていきます。

 他を圧倒する壮大なスケールの王朝ロマン、随所に和歌や漢詩を引用するなど内容の深さと流麗な文章で綴られた物語文学の最高峰である「源氏物語」は、今もなお多くの人々を魅了しています。全部で54帖もある長編で、高校生にとっては決して簡単な古文ではありませんが、人の世の刹那、もののあはれを感じつつ、一度はじっくりと味わって読んでみたいものです。

「六条御息所が生霊となることについて、どのような出来事や心情が原因だと考えられるか」

 先生が出された問いに、生徒達はよく考えて熱心に書いていました。                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                               

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 続く2限に「英語コミュニケーションⅢ」の授業を見学しました。担当は吉田先生、教科書Lesson8の「The Thrawing Permafrost: Earth's Warning Call」に入るところでした。地球温暖化によって、永久凍土が溶けると、どのようなことが起きるのかが、科学的に根拠立てて書かれた英文を、単語やイディオムを覚え、文法事項等を確認しながら、次の順でテンポよく進められていました。

 ⓵動画を見ながら流れる本文のリスニング、②本文の音読、③本文のシャドーイング、④ペアでの文字起こし、⑤和訳、⑥英訳

 さすが3年生、全く遅延することなく進んでいきます。英語を十分理解し、「読む・書く・聞く・話す」の4技能がついているように感じました。

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 11/5(水)3限は、「続世界史探究」の授業を見学しました。担当は樋山先生です。第二次世界大戦後、欧州は「鉄のカーテンが下ろされた」と言われたように、アメリカを代表とする西側の資本主義国家と、ソ連を代表とする東側の共産主義国家とに二分され、いわゆる冷戦時代になりました。

 その頃、「アジアはどうなっていったか」がこの時間のテーマです。中国は?、朝鮮半島は?、東南アジアは? インドは?、西アジアは? 一つ一つ資料を見ながらペアになって考えていきます。大学入試で世界史を選択する生徒達にとって、近現代の学習は一番後になっているかもしれません。「入試でベトナムはよく出ますよ。」と先生が伝えられていました。生徒達はとても熱心です。

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 続く4限は、「もう一つの現代社会」の授業を見学しました。学んだことを生かして自らの考えを深め判断し、そして発信することを目標とする西口先生肝いりの学校設定科目です。

 発信すること~が生徒に十分に伝わっているようで、文化祭では多数決をテーマにした演劇をしたり、子供服の古着を集めて寄附したり、意欲的な活動をしています。この時間の冒頭に、朝日新聞デジタル版に掲載された3年1組 I さんの投稿の紹介があり、皆で拍手をしました。

 この時間は、選挙の投票率について皆で考え、話し合いました。どうすれば投票率が上がるのか、そもそも投票率は高い方が良いのかなど、投票率90%のオーストラリアの状況を参考にして考えました。

 オーストラリアは理由なく投票に行かなければ罰金が科せられる「義務投票制」が導入されて100年になりますが、その時に50%から90%に跳ね上がったそうです。生徒達からは、「罰金ではなく、投票したら『お米券』などがもらえるようにした方がいい」という意見が出ていました。なるほどです。私も話し合いに参加させてもらいましたが、生徒達の活発な意見交換の様子を間近で感じ、とても感心しました。

 たくさんの授業を見学して思うのは、私が授業を担当していた頃より先生方はいろいろな工夫をして授業をされていることです。教室では電子黒板を使った視覚的に分かりやすい説明が多く、生徒達はChromebookやスマホを使って効率的な学習ができるようになりました。また、グループワークやペアワークなどのアウトプットの機会が格段に増えたように感じます。学習には変わらないほうが良い部分もあると思いますが、学校での学び方が大きく変わって来たんだなぁと思います。

 明日は5時間見学させてもらう予定です。どの時間もとても勉強になります。有難うございます。