9 校歌の歌詞内容(1番)を読んでみよう

本当に猛暑と呼ぶにふさわしい気候が続いています。体調管理というとどうしても身体への注意になってしまいますが、気候の変化の激しい時には心身のバランスをとることが大切でしょう。こういう時は体の不調や疲れに気づけるように心を修めておくことも必要です。上高生の皆さんも1日に何回かは我に返る時間を意識して作りましょう。

さて、どの学校にも校歌があります。本校の校歌の作詞は明珍昇という方がされています。詩人、文芸評論家として活躍した方で、数多くの校歌の作詞を手掛けています。「四季」という詩人のグループについての研究家でした。様々な機会に校歌を唄いますが、歌詞の内容を理解しておくと一段と気持ちを込めて唄えることと思います。本校の校歌を私なりに分析して解釈してみます。

1番の歌詞は次のようになっています。

   かつらぎの 峰に かがよう あめつちの いのちを うけて ふみ ひらく

   日部の宮森 競い立つ 若木 さやかに 友愛と 自律 たたえむ

   その名も ゆかし 堺上高校

後に「峰」とありますから「かつらぎ」というのは大阪南部にある葛城山という山のことです。つつじの美しい名所であり、人々が修行に励んだことで有名な山です。その山の頂上付近に「あめつち」天と地が光り輝いている。その光が含む「いのち」生命エネルギーを受けて堺上高校の生徒が「ふみ」教科書などを開いて学んでいる(土地を踏み開く、という解釈も可能ですが、校歌ですから「ふみ」は「文」のことだと思います)。「宮」とありますから「日部」というのは堺市西区にある「日部神社」のことでしょう。「部」というのは特定の役割を果たす人々をさす言葉で、「日」の字を用いているところから推測して、太陽を崇める人々に関係していたのかもしれません。この周辺は古事記にも出てきていて、治めていた一族からは浦島太郎が出たという伝承もあるそうです。その神社の鎮守の森には競い合うようにさわやかな若木が育っている。その若木とはみなさん、上高生のことです。その堺上高校で学ぶ生徒には友人を大切にする心と自分のことをきちんと律する精神とがあって、そのことを誉(ほ)めてたたえよう、というのです。「ゆかし」にはたくさん意味がありますが、ここでは品があって落ち着いた響きを堺上高校という学校名がたたえている、ということでしょう。

どうですか。本校の近くに存在する有名なスポットに関係させて君たち生徒の成長を高らかに歌い上げてくれていますね。校歌の歌詞にはその学校の生徒がその内容にふさわしい存在になってほしいという願いが込められています。それから音の数がきれいに五七調になっていることに気づきましたか。「かつらぎの」で5音です。「峰にかがよう」で7音です。以下、5音もしくは7音で区切れるようにリズミカルに構成されているのです。さすがは詩人ですね。

2番と3番の解釈は別の記事で扱います。