2月8日(金) 耐寒訓練、任務完了!

 「山に捨ててはならないものは"ゴミと生命"」を合言葉に、1年生320名が、岩湧山周回というかなり無謀?ともいえる耐寒訓練に挑みました。2月8日(金)は、寒気団が下りてきて、朝から粉雪舞い散る曇天で、雪山登山の雰囲気も味わえる耐寒訓練にうってつけの天候となりました。

 1年生8クラス320名を男女混合8名グループ40班に分けて、南海高野線天見駅をスタートし、岩湧山頂上を経て天見駅に戻る約13㎞、約6時間半のコースです。今回の班編成は、男女混合チームで一般社会の延長です。男女が共に助け合い、いたわりあいながら一つのことを完成させるという強い教育理念の下で実施しました。途中で脱落者が出たら、引き返すという厳しいものでした。生徒も連帯責任を強く意識していたと思います。女子がリーダーを務める班もありました。

 実は実施の前々日、河内長野市役所の農林課から砥石谷の土砂崩れと倒木の工事が間に合わない旨の連絡があり、急きょ前日、担当教員を下見に行かせ、夕刻にはボ谷へコース変更を決めました。危険極まりない前夜の計画変更ですが、視認情報が確実なので、実施可能と判断しました。教員の再配置を含め、「頭を切り替えて、一晩でイメージを作ってください。」と、教員たちには頼みました。

 平均年齢53歳の狭山高校教員が10か所のポイントに待機し、各班のメンバーをチェックします。教員は全員が通過しないと動かないので、後半のポイントの教員は雪地蔵のようになってしまいました。特に頂上の教員は、-8℃の中でよく頑張ってくれたと思います。

 下見を含め教員とキャッチボールしながら、すべての懸案事項について議論し、一応納得?してから臨んでよかったと思います。山という掌中に決しておさまることのないフィールドに300名以上の教員と生徒を放つわけですから、とことん準備する必要があると思います。しかも初めて臨むことなのですから、「想定外」という言葉は絶対に使えません。実施に関して、校長としての責任は重く、今年度一番の勝負の時でした。「成功させるために何ができるか、どうサポートすればいいのか」を考え続けた2ヶ月でした。下見はともかく、総指揮官は、通信が確保され、全体を把握できる地上にいるべきであることは百も承知ですが、生徒を送り出したあとを追って、教員の労をねぎらいながら、老体にムチ打ちながら全行程を歩きました。

 思ったより生徒は元気だな、という印象を持ちました。体育の授業で、4月から徹底した持久走訓練と筋トレを行っています。生徒たちも体力に自信を持ち始めているのでしょう。また、リーダーとサブリーダーに対する役割の認識、救急法等の技術指導等徹底した事前教育を行いました。指示をする前に、自主的にアイゼンを装着し始めたグループも多くあり、生徒たちの生きる力を見直し、やるものだなと感動しました。

 下見の際、私たちにお湯を提供してくださった山小屋(四季彩館)のおじさんは、訓練当日、生徒たちにお弁当を食べる場所を無償で提供してくださいました。本当にありがたいと思います。最初のグループは頂上で吹雪いていましたが、後半は見晴らしがよくなり、狭山高校を確認することができました。折しも陸上自衛隊八尾航空隊のヘリコプターが激励に来てくれ、パイロットが手を振ってくれました。因みに隊長は、とても教育に理解のある方です。

 当日下山してから部活動に参加した生徒もいたようですが、苦しい思いをしながら頑張った生徒については、達成感を感じていることでしょう。来年度の修学旅行の前哨戦ともいえる今回の耐寒訓練では、集合や班行動について、とてもよい訓練ができたと思います。教員の団結力も素晴らしかったです。

 教員の中には、健脚で山が好きな人も多いようです。山嫌いの私も、仲間と行くのなら山も楽しいかもしれないかなと、少しは心が動き始めたところです。今回は、筋肉痛も心地よい痛みとなりました。