10月30日(木) 男女平等を考える

 昨年、本校の人権教育委員長から「来年度の生徒に対する人権講話を、校長先生にお願いします。」という依頼を受けました。「はあ?人権とは縁遠い自衛隊出身の私に、人権を語らせるの?」と尋ねたら、「人権教育委員会のメンバーにも諮り、『男女平等』のテーマでお願いすることになりました。」という答え。拙著『任務完了』を熟読して決めたということだったので、徹底した男女不平等時代を生き抜いた自衛隊の話も、反面教師になるかもしれないと思い、引き受けたのでした。

 まず、小・中・高・大学生時代をずっと女子校で過ごした経験。その中でなぜ海上自衛隊をめざしたか。男性社会である自衛隊での数々の不当な扱いの中でいかに生き残りをかけて闘ってきたか。たとえば、今でいうセクハラ、パワーハラ、マタハラとの闘い、「女は乗せない戦艦(いくさぶね)」との闘い、・・・。そのような経験を重ねているうちに、自分が部隊のトップとなり、後輩を守り、後輩の進むべき道を開拓しなくてはいけないという使命感を持ったこと。一方、女性であることがうまく活かせた配置も経験したこと等、写真を含めイメージ化を図りました。

 伝えたかったことをまとめると、次のとおりです。

1 いかなる組織も意欲のある人間(男女問わず)の道を閉ざしてはならないこと

2 人権としては生まれながらに男女平等でも、女性を活用するという観点からは、多くの職域で「男女区別平等論」の概念の方が適するのではないか。男女は持てる能力をお互いに補完するべきであること

3 国策として女性活躍推進法案等で管理職30%等の目標がかかげられ、女性活躍の場が拡大しつつあり、逆差別にならないよう配慮しつつ、一気に実施していかないと達成は難しいと考えること

4 労働人口の減少に伴い、出産後離職する女性の割合を減らすために、保育所の増設等の施策が急務である。また、雇用主の意識、男性の意識、日本におけるワーク・ライフ・バランスの考え方の変容が求められること

5 3,4を実現するためには、社会においても家庭においても「男女共同参画」の意識が徹底されなければならないこと

6 女性の意識として、権利を主張するならば様々な困難も同時に享受しなくてはならないという「Equal Rights Equal Risks」の考え方が必要だと考えること

 あれもこれも話したいという思いが膨らみ過ぎ、時間の関係でカットせざるを得なかった内容もありますが、今後、本校の生徒たちが「男女平等を考える」きっかけになればいい、と思います。

 

投稿者
一読者H
コメント

全く同感です。あとは如何にして実現するかですね。