読書のすすめーその4ー

6月に入り、暑かったり、雨が降ったりで体調を崩しやすくなりがちです。生徒の皆さん、暑い日や体育、部活動時には熱中症にも注意し、健康管理には気を付けてください。

さて、読書のすすめの4回目です。教育実習生の皆さんにもおすすめした本です。「ぼくはイエローでホワイトで、ちょっとブルー」と言います。鮮やかな黄色の本ですので、見たことのある人も多いと思います。 

英国人の配偶者を持つ日本人の女性がご自身の息子さんの日常を通して英国社会の社会、教育などについて描いているエッセイです。その中でこのempathy(共感)についての記述がありました。(ブレイディみかこ、2019「ぼくはイエローでホワイトで、ちょっとブルー」pp74-75、新潮社) 似た単語でsympathy があります。sympathyは「かわいそう」「その気持ち、わかる」といった、同情や理解を示す、感情(emotion)です。この感情は努力しなくても自然と湧いてくる気持ちです。一方、empathy は「立場や意見の違う人の気持ちを想像する」ことができる能力(ability)です。同情ではなく、違う立場や意見の人の気持ちを想像する知的な能力です。つまり、sympathyはハート、empathyはマインド(頭脳)の作業ともいえます。

英語の表現で "put one's feet into someone's shoes" があります。「他人の靴を履いてみる」、つまり「他人の立場に立って考えてみる」という意味になります。さまざまな立場で過ごしている人がいます。その人の立場で考える能力を養いたい。今の自分の行動が自分とは全く異なった立場の人、自分が会うこともないであろう人のためになる、またはその人に影響を与える。そんな風に想像して、その上でよく考え、行動しなければならないですね。"put one's feet in someone's shoes"  考えてみましょう。また、この続編も刊行されました。きれいなブルーの本です。成長した息子さんの様子がわかり、こちらもおすすめです。